愛の産科

愛の産科

概要

『愛の産科』は、1996年1月から3月にかけてTBS系列の「ドラマ30」枠で放送された日本のテレビドラマシリーズです。毎日放送によって制作され、全45回にわたって放送されました。本作は、産婦人科を舞台に、医師の主人公が直面する「嫁姑」問題や、出産、子育てにまつわる多岐にわたる悩みや喜びを描いたホームコメディとして展開します。

物語の中心となるのは、総合病院の産婦人科医として働く小森真知子です。彼女は、システム化され、スケジュール通りに効率よくこなされる機械のような出産現場に疑問を抱き続けていました。そんな中、義母との同居話が持ち上がったことをきっかけに、真知子は総合病院を退職し、実家である産婦人科を継ぐことを決意します。下町に新たに開業した「小森産婦人科」で、真知子は地域に根差した医療を目指し、患者一人ひとりに寄り添う姿勢を貫きます。

その真摯で時に踏み込んだ対応は、周囲から「おせっかい産科」と呼ばれるほど。しかし、真知子は、妊娠・出産に伴う患者やその家族の様々な悩みに、情熱的に体当たりで向き合っていきます。避妊手術を希望する患者、夫の立ち会い出産、育児ノイローゼに苦しむ妹、マタニティブルー、過食症など、多種多様なケースに直面し、医師として、そして一人の女性として成長していきます。さらに、真知子自身も妊娠し、仕事と自身の体調、そして家族との関係の間で奮闘することになります。

最終回では、自身の身に突然訪れた早産の兆候に対し、真知子が産婦人科医としての知識と経験、そして母親としての覚悟を持って冷静に立ち向かう姿が描かれ、物語はクライマックスを迎えます。

キャスト

本作を彩る主要キャストは以下の通りです。

小森真知子：大島さと子
主人公。夫・省二の母が営んでいた産婦人科を継ぎ、情熱的に患者と向き合う医師。
小森省二：国広富之
真知子の夫。教師。実家の家業を継いだ妻の活躍や自身の妊娠に翻弄される。
小森豊子：近松麗江 ／ 中原早苗
省二の母。物語の途中で、近松麗江が体調不良のため降板し、中原早苗が役を引き継いだ。
木村先生：東野英心
真知子の恩師。
省二の姉：千うらら
近所の喫茶店「こうのとり」の奥さん。子だくさんで面倒見が良く、真知子の良き相談相手となる。
省二の姉の夫：綾田俊樹
喫茶店「こうのとり」のマスター。こちらも子だくさん。
明子：菊地則江
真知子の妹。真知子より先に母親となるが、子育てのストレスからノイローゼに陥る。
明子の夫：宮川浩
明子のノイローゼに振り回されながらも、懸命に妻を支えようとする。

スタッフ

このドラマの制作に携わった主なスタッフは以下の通りです。

脚本：坂田義和、清水喜美子
演出：籔内広之、登坂琢磨、鐘江稔（MBS企画）
音楽：渡辺博也
プロデューサー：籔内広之
制作：伊東雄三
制作協力：MBS企画
* 製作著作：毎日放送

主題歌

本作の主題歌には、田原俊彦が歌う「真夜中のワンコール」が採用されました。作詞は田久保真見、作曲は都志見隆、編曲は武沢豊が手掛けています。

この作品は、産婦人科という専門的な世界を舞台にしつつ、ホームコメディの要素を交えながら、当時の社会が抱える家族や出産、育児に関する様々な課題や心情を丁寧に描き出しました。主人公が医師として、また女性として成長していく過程を通じて、命の誕生とそれを支える人々の温かさが描かれた作品と言えます。

もう一度検索