愛はどこへ行ったの

「愛はどこへ行ったの」（原題：Where Did Our Love Go）は、1960年代に一世を風靡したスプリームスの代表曲であり、彼女たちにとって初の全米No.1シングルとして、音楽史にその名を刻んでいます。ローリング・ストーン誌が選ぶオールタイム・グレイテスト・ソング500（2010年版）では475位にランクインするなど、その影響力は時代を超えて色褪せることがありません。

この楽曲は、ホーランド＝ドジャー＝ホーランドというソングライティングチームによって作詞・作曲されました。当初、この曲はマーヴェレッツのリードシンガーであるグラディス・ホートンを想定して書かれ、実際に彼女のキーに合わせてバッキング・トラックも制作されていました。しかし、プロデューサーも兼任していたラモント・ドジャーがホートンにテープを聞かせたところ、「私たちはこういう曲はやらないの。私がこれまでに聞いたものの中でも最低の曲だわね」という、まさかの酷評を受けてしまいます。

マーヴェレッツのメンバー、キャサリン・アンダーソンは、後に歌入れを拒否したのは、彼女たちがアップテンポの楽曲を主なレパートリーとしていたためだと述べています。当時のモータウンでは、制作した楽曲がレコードにならなかった場合、その製作費はソングライターたちが負担するという厳しいルールがありました。そのため、ドジャーはすぐに社内で「No Hit Supremes」として知られていたスプリームスに声をかけました。

スプリームスは「Run, Run, Run」に続く楽曲を必要としていましたが、ドジャーの予想に反して、彼女たちも当初はこの曲に乗り気ではありませんでした。何とか説得してレコーディングにこぎつけたものの、キーが低すぎたこともあり、ダイアナ・ロスは終始不機嫌だったと言われています。しかし、プレイバックを聴いたロスは一転して興奮し、社長のベリー・ゴーディをスタジオに呼び、同じようにプレイバックを聴かせました。ゴーディも曲の素晴らしさに気づき、「本当にヒットになるかどうかはわからないが、トップ10にはおそらく入るだろう」と予言しました。

1964年6月17日、「愛はどこへ行ったの」はシングルとしてリリースされ、同年8月31日には同タイトルのアルバムに収録されました。同年8月22日から8月29日にかけて、ビルボード・チャートで2週連続1位を記録し、カナダで1位、イギリスで3位、オランダで4位を獲得するなど、世界的な大ヒットとなりました。ビルボードの1964年の年間チャートでは10位にランクインしています。

スプリームスは、この曲のドイツ語バージョン「Baby, Baby, Wo Ist Unsere Liebe」も録音しており、このバージョンはアルバム『More Hits by The Supremes』の2011年再発盤に収録されています。

「愛はどこへ行ったの」は、スプリームスのキャリアを決定づけただけでなく、音楽史に残る不朽の名曲として、今もなお世界中の人々を魅了し続けています。

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