愛国 (米)

愛国米の特性と歴史

愛国（あいこく）とは、日本で生まれた稲の品種の一つで、特にその多様な種類や特徴が注目されています。愛国米には、早生愛国、中生愛国、晩生愛国などさまざまな亜種が存在し、それぞれ異なる生育特性を持っています。

愛国の特徴

愛国米は、収量が多く、多肥に耐え、病害虫にも強いという特性を有しています。特に早生種は冷害にも強く、さまざまな気候条件に適応することができます。しかし、明治時代には亀の尾や神力と並び、日本の主要な米の品種とされていましたが、味が他の品種と比較して劣り、価格も安かったため、需要が減少していきました。特に晩生の愛国は冷害に弱く、宮城県中部及び南部での大規模作付けが被害の原因となりました。

その後、大正時代には他の品種に取って代わられ、主に自家消費用に回されるようになりました。やがて、農林12号や農林18号といった後継品種が広く栽培されるようになると、愛国の作付けは急激に減少しました。しかし、愛国から派生した品種は多く、その中には銀坊主、陸羽132号、コシヒカリやササニシキなど、後の人気品種が含まれています。

歴史的背景

愛国米の起源は、静岡県青市村（現在の南伊豆町）に遡ります。生産者である高橋安兵衛は、1882年に身上起（しんしょうおこし）から選定した身上早生（しんしょうわせ）を栽培しました。この品種は、当時、収穫が豊富であることから多くの農家の生活を支える役割を果たしました。1889年には、その種子が宮城県に伝わり、地元の農家により栽培されるようになりました。1892年には、権威ある文献により「愛国」と名付けられ、この名前が定着しました。

愛国は、東北や北陸地方で広く栽培され、戦前には日本統治下の台湾や朝鮮でも生産されました。愛国の発祥地に関してはさまざまな説がありましたが、研究が進むにつれて、宮城県丸森町が発祥の地であると確定しました。2010年には、その地を記念する碑が建立され、2011年には再び愛国の栽培が行われるようになりました。

近年、愛国米は酒造りに使われることが多く、2012年には純米酒「賜候（たまわりそうろう）」が発売されています。また、南伊豆町でもJAの青年部が種籾を収集し、試作を継続しており、2014年には他の地域に種籾を譲るまでに成長しました。そして、愛国米の日本酒が国際的なワインコンテストで受賞するなど、その品質が再評価されています。

今後の展望

愛国は、現在の日本の耐冷性品種の基礎となる遺伝子の供給源とされており、今後もその特性を受け継いだ品種が生まれることでしょう。日本の農業と食文化において重要な役割を果たし続ける愛国米の未来は、非常に楽しみです。

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