愛知県産業貿易館

愛知県産業貿易館は、かつて名古屋市中区に位置していた、愛知県立の重要な文化施設です。1963年に開館し、愛知県産業振興機構によって運営されていました。この施設は本館と西館の二部構成で、多様な展示場や会議室を備えており、地域の産業振興や文化交流の場として機能していました。特に本館は開館からわずか1年後の1964年に、第5回BCS賞を受賞するなど、その建築的な価値も高く評価されていました。

西館は1974年に建設され、以降も地域の企業やビジネスコミュニティにおいて重要な役割を果たしてきました。しかし、時の経過とともに老朽化が進み、愛知県産業貿易館とその関連施設である愛知県中小企業センターや愛知県勤労会館を集約し、新たに整備された「愛知県産業労働センター（ウインクあいち）」に移行することが決定されました。これにより、愛知県産業貿易館は2009年9月末に閉館されることとなります。

閉館後、愛知県議会は2017年3月10日に本館跡地の売却を承認し、愛知県は東海旅客鉄道（JR東海）に36億円で売却しました。JR東海はその後、建物を解体し、中央新幹線名城変電所の用地として新たに利用しました。一方、西館は2019年に愛知県によって解体され、現在はコインパーキングとして活用されています。

交通アクセスも便利で、名古屋市営地下鉄の鶴舞線や桜通線の「丸の内駅」からは徒歩約10分、名古屋市営地下鉄名城線の「市役所駅」からも徒歩約10分ということから、多くの訪問者が利用していました。また、名古屋市営バスの「外堀通」バス停から降りてもすぐの距離にあり、地域の交通の要所でもありました。

愛知県産業貿易館は、地域の産業と文化の発展に寄与した重要な施設であり、閉館した今もその存在は多くの人々の記憶に残っています。資料としては、後藤欣之輔著「愛知県産業貿易館」や中日新聞社編の『愛知百科事典』においてその概要が記録されています。清水建設の編纂した『清水建設二百年』にも、この施設の歴史が触れられています。

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