愛知青年師範学校

愛知青年師範学校

愛知青年師範学校は、太平洋戦争終結前年の1944年（昭和19年）に設立された、青年学校の教員を育成するための専門教育機関です。略称として「愛知青師」とも呼ばれました。学校が設置されたのは、愛知県安城市の地です。

設立の経緯と源流

この学校は、愛知県が設立・運営していた「愛知県立青年学校教員養成所」が国に移管される形で発足しました。この養成所自体は1935年（昭和10年）に設置されたものですが、その起源をさらにたどると、1918年（大正7年）に創設された「愛知県立実業補習学校教員養成所」に行き着きます。つまり、愛知青年師範学校は、明治末期から大正・昭和にかけて県が育成してきた実業教育や青年教育に関わる教員養成の系譜を受け継ぐ存在であったと言えます。

沿革

学校の歴史は、源流となる養成所時代から数えると以下のような歩みをたどりました。

1918年（大正7年）3月：農業分野に特化した「愛知県農業補習学校教員養成所」が開校。
1921年（大正10年）4月：対象を広げ、「愛知県実業教員養成所」と改称。
1935年（昭和10年）4月：青年学校教育の重要性が増す中で、「愛知県立青年学校教員養成所」に再び改称。
1944年（昭和19年）4月：師範教育令の改正に伴い、県から国（官立）へ移管され、この時「愛知青年師範学校」が正式に設立されました。
1947年（昭和22年）4月：戦後の学制改革の波の中で、附属中学校を併設。
1949年（昭和24年）5月：新しい大学制度のもと、愛知学芸大学学芸学部の構成要素として組み込まれ、「愛知学芸大学愛知青年師範学校」と改称。同時に、愛知青年師範学校の校地を利用して「愛知学芸大学安城分校」が設けられました。
1950年（昭和25年）4月：愛知学芸大学の本部機能が岡崎市に移転することとなり、これに伴い愛知学芸大学愛知第二師範学校（旧豊川分校）が岡崎市に移転しました。
1951年（昭和26年）3月：最後の卒業生を送り出し、愛知青年師範学校はその役割を終え廃止されました。
1951年（昭和26年）4月：附属中学校は「愛知学芸大学附属安城中学校」と改称し、存続しました。
1952年（昭和27年）3月：愛知学芸大学安城分校が、本部のある岡崎への統合により廃止。附属安城中学校も附属岡崎中学校に統合され閉校となりました。

その後

学校が廃止された後、その広大な敷地は名古屋大学農学部によって利用されました。名古屋大学農学部は1966年（昭和41年）に名古屋市東山キャンパスへ移転し、現在、かつての愛知青年師範学校および名古屋大学農学部の跡地は、安城市の「安城総合運動公園」（安城市新田町）として市民に利用されています。

歴代校長

記録に残る校長には、三宅義一（1945年まで）や福田嘉太郎（1945年以降）がいます。

関連項目

愛知青年師範学校に関連する事項として、新制愛知教育大学の他の前身校である愛知第一師範学校や愛知第二師範学校、また旧制専門学校制度下の師範学校、そして日本の教育制度を大きく変えた学制改革などが挙げられます。後身校は現在の愛知教育大学です。

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