慶元まさ美のおはようパートナー

『慶元まさ美のおはようパートナー』

『慶元まさ美のおはようパートナー』は、朝日放送（ABCラジオ）が2010年10月4日から2016年9月23日まで、毎週月曜日から金曜日の朝5時00分から6時30分にかけて放送していたラジオ番組です。この番組は、1968年8月にスタートして以来、48年2ヶ月にわたって放送が続けられた「おはようパートナー」と冠する長寿シリーズの、事実上最終版にあたります。

「おはようパートナー」シリーズの大きな特徴は、女性のアナウンサーまたはタレントが単独でパーソナリティを担当してきた点です。そのため、番組のタイトルには代々の担当者の氏名が冠されていました。この項目では、慶元まさ美氏が担当した期間を中心に記述しますが、シリーズ全体の歴史や、かつて存在した土曜日版についても触れます。

慶元まさ美氏がパーソナリティを務めた期間は、ABCラジオの平日における生ワイド番組としては最も早い時間帯での放送でした。「ラジオで朝のビタミンABC」をキャッチフレーズに掲げ、フリーアナウンサーである慶元氏が進行役となり、リスナーからのリクエスト曲を中心に、参加型の企画などを交えながら放送されました。番組内には、全国のNRN系列局が企画ネットで放送していた『JFマリンバンク海の天気予報』が5時台後半に、またニッポン放送制作・ダイワハウス提供の箱番組『ダイワハウス・モーニングエッセイ 川井郁子ハートストリングス』が6時台にそれぞれ内包されていました。かつて、在阪ラジオ局がTBSラジオ制作の全国ネット番組『生島ヒロシのおはよう一直線』を全編ネットしていなかった2014年9月25日までは、同番組内で放送されていた日替わりコーナーの一部も時間差で組み込まれていました。

慶元担当期の主なコーナーとしては、番組冒頭でリクエスト曲を数曲紹介した後に、慶元氏自身がニュース原稿を読む「おはようニュース」（5時台前半）がありました。前述の『JFマリンバンク海の天気予報』では、近畿地方の海洋気象概況や大阪の干満時刻などを慶元氏が伝えていました。「ABC天気予報」は5時台に慶元氏が、6時台にはABCラジオとしてはその日の放送で最も早く、ウェザーニュースの気象予報士が登場して伝えました。「おはようマーケット」（5時50分頃）では、月・火曜日に青果卸売市場関係者への電話インタビューで旬の話題を、木曜日には旬の食材を使った料理レシピを紹介し、投稿者へのプレゼント企画も実施しました。金曜日はリスナーからの心温まるエピソードが紹介されました。6時過ぎの「ABCニュース」では、2012年10月以降は慶元氏がストレートニュースを担当していましたが、それ以前は曜日担当のニュースデスクが読み上げていました。エンディング直前には、スタジオから慶元氏が伝える「ABC交通情報」がありました。なお、『ナデシコですから』という帯ドラマが編成された2016年6月下旬以降は、番組終了時間が6時10分に短縮されました。

過去に内包されていた『生島ヒロシのおはよう一直線』関連コーナーとしては、「ファミリーマート おとなコンビニ研究所」からリニューアルした「ファミリーマート グッドモーニングソングス」（水曜 5時53分頃）や、いすゞ自動車提供の企画ネットコーナー「いすゞ ぐっ!トラック」（木曜 5時53分頃）がありました。これらのコーナーは、2014年9月に在阪局でも『おはよう一直線』の本格的な放送が始まったことを機に、当番組での内包を終えました。特にファミリーマートのコーナー紹介後には、番組スタッフが街頭で録音した一般人の「鼻歌」を聞いて曲名を当てる「鼻歌クイズ」が出題され、人気を集めました。

慶元担当期の特徴として、永尾光湖氏が担当していた頃までの懐メロ中心の選曲から変化し、AKB48やK-POP、ももいろクローバーZなど、1990年代以降の曲や最新ヒット曲が数多くかかるようになり、音楽番組としての色彩が濃くなりました。また、かつて存在した「暮らしのパートナー」「みんなでパートナー」といったコーナーは廃止され、日替わりのメッセージテーマを設定し、リクエスト曲や各コーナーの合間にリスナーからのメッセージを随時紹介する形に変わりました。FMラジオの音楽番組のように、曲の終わりにタイトルやアーティスト名を紹介するスタイルも増えました。2012年からは、番組本編とCMの間にジングルが挿入されるようになり、英語のメッセージやラップ調など様々なバージョンが登場しました。2014年から2015年にかけては、6時15分前後に流す曲のタイトルを尻取り形式で紹介する「しり取りリクエスト」という企画も行われました。

番組のエンディングでは、後続番組である『おはようパーソナリティ道上洋三です』（通称『おはパソ』）の聴きどころを簡単に紹介するのが恒例でした。慶元氏自身が、『おはパソ』のアシスタントが夏季休暇を取得した際に代理を務めることもあり、2011年、2012年、2016年に経験しました。特に月・火曜日は当番組に加え、α-STATIONの生ワイド番組も担当していたため、1日に10時間近く生放送に出演する非常に多忙な時期もありました。慶元氏が夏季休暇を取得する際には、渡辺たかね氏らが代役パーソナリティを務めました。

リスナーからのメッセージやリクエストの読み方にも変化がありました。歴代パーソナリティがリクエスト主を「○○さんのリクエスト」と紹介していたのに対し、慶元氏は「○○さんのお好きな曲」と呼んでいました。また、ラジオネームではなく、投稿者の都道府県・年代・性別（例：「大阪府40歳の男性」）に読み替えて紹介するのは、他のABCラジオの生ワイド番組でも共通する対応でした。

「おはようパートナー」シリーズの歴史は古く、初代パーソナリティは当時の朝日放送アナウンサー、柴田邦江氏で、1968年8月5日に『柴田邦江のおはようパートナー』としてスタートしました。2代目のパーソナリティは毛利千代子氏で、1976年10月から2002年10月4日まで26年間にわたり『毛利千代子のおはようパートナー』を担当しました。毛利氏の担当初期は『ABC市場便り』というサブタイトルがつき、大阪中央卸売市場からの情報などを盛り込んでいましたが、後にリクエスト曲中心の構成に変わりました。1995年1月17日の阪神・淡路大震災発生時には、放送中にスタジオが停電するなどしましたが、毛利氏が落ち着いた対応を呼びかけました。毛利氏の時代には、後に放送時間が朝5時からに拡大されました。3代目は宇野ひろみ氏で、2002年10月7日から『宇野ひろみのおはようパートナー』が始まりました。宇野氏はリスナーに手作りの新聞を配布するなどユニークな企画も行いました。宇野氏の産休期間中には、蕭秀華氏が代役を務め、その期間は『蕭秀華のおはようパートナー』として放送されました。4代目は永尾光湖氏で、2009年10月5日から1年間担当しました。永尾氏の降板後、5代目として慶元まさ美氏が登場し、シリーズの最終期を担うことになります。

平日版に加え、1972年10月から1983年10月にかけては、土曜日にも『●●●●（パーソナリティ名）のおはようパートナー』が放送されていました。土曜版は、熊谷瞭子氏、久下景子氏、児島恭子氏、安達治彦氏、小林大作氏など、様々なパーソナリティが担当しました。

長きにわたる「おはようパートナー」シリーズは、慶元まさ美氏がパーソナリティを務めた番組をもって、2016年9月23日にその歴史に幕を下ろしました。後継番組としては、朝日放送の新旧アナウンサーがパーソナリティを務める情報生ワイド番組『朝も早よから』シリーズが始まり、当番組の放送枠を引き継いでいます。一方、慶元まさ美氏はシリーズ終了後に始まった土曜日午後の音楽番組『慶元まさ美の Sounds Good!』を1年間担当し、その後はラジオ大阪で平日午前に放送される生ワイド番組で、当番組と同じ単独パーソナリティスタイルで活躍を続けています。

番組のテーマ曲も各担当者によって変化しました。宇野ひろみ氏の担当期間中は、押尾コータロー氏の『Fantasy!』がオープニング・エンディングテーマとして使用されました。永尾光湖氏の担当期間中には、西村由紀江氏の『パームトゥリーの下で見る夢は』や、カーペンターズの『Top of the World』のインストゥルメンタルバージョンが使用されました。そして、慶元まさ美氏の担当期間中は、竹内まりや氏の『毎日がスペシャル』、moumoonの『Sunshine Girl』、そして最終的にはいきものがかりの『ラブソングはとまらないよ』のインストゥルメンタルバージョンがテーマ曲として採用されました。

長年にわたり、多くのリスナーに朝のひとときを届け続けた「おはようパートナー」シリーズは、慶元まさ美氏の番組をもってその役割を終えましたが、日本のラジオ史における早朝番組の歴史に確かな足跡を残しました。

もう一度検索