憐哀 -レンアイ-

シドの1stアルバム『憐哀 -レンアイ-』は、2004年12月22日にリリースされました。インディーズ時代の集大成とも言える本作は、初回限定盤と通常盤の2タイプで販売され、限定盤は10,000枚があっという間に予約完売となりました。

初回限定盤は紙ジャケット仕様で、その希少性から現在でもプレミアムなアイテムとして扱われています。通常盤の初回仕様にはエンハンスドが施され、収録曲である『紫陽花』のPVが収録されています。

このアルバムのリリースを機に、シドはレーベルに所属し、衣装もそれまでの喪服をイメージしたスタイルからスーツへと一新。新たなステージへと進みます。収録曲には、以前から演奏されていた『必要悪』や『青』なども含まれていますが、初期の楽曲である『吉開学17歳（無職）』や『循環』、『ノイロヲゼパアティー』などは収録されていません。

メンバーの明希は、メジャーデビュー前後のインタビューで「レーベルに入ってすぐに、よくこれほど完成度の高いアルバムを作れたなと今更ながら思う」と語っており、本作に対する自信と驚きを表現しています。

アルバムの収録曲の中でも特に人気が高いのは、『紫陽花』です。この曲は、2018年にリリースされたベストアルバム『SID Anime Best 2008-2017』に収録された『ASH』のPVが制作されるまで、シングル化されていない楽曲としては唯一PVが制作された曲でした。

『私は雨』は、アルバムバージョンとして収録されており、シングルバージョンとは異なり、演奏にピアノが加えられています。『青』も同様にアルバムバージョンで、冒頭のAメロがアカペラから始まるアレンジとなっています。

『必要悪』は、初期からのファンにはお馴染みの曲で、ライブでは定番のナンバーです。初期のライブでは、持ち曲が少なかったため、『吉開学17歳（無職）』、『循環』、『できそこない』と合わせて、曲順を入れ替えながら演奏されていました。

『赤紙シャッフォー』は、戦争をテーマにした楽曲で、歌詞が福岡弁で書かれているのが特徴です。作詞を担当したマオ曰く、「歴代でも締め切りギリギリリストでTOP3に入るぐらい」追い込まれた作品で、喫茶店で1時間で書き上げられたそうです。

『妄想日記』は、しんぢが初めて作曲を手がけた楽曲で、哀愁漂う歌謡曲調が生まれたきっかけの曲でもあります。メジャーデビュー後にリリースされたアルバム『hikari』には、『妄想日記2』というタイトルの楽曲が収録されています。

『妄想日記』は、ライブでの定番曲として長年愛されており、メジャーデビュー後、他の曲がアンコールでの演奏が中心となる中でも、この曲だけは本編で演奏されることが多いです。また、ライブ中、会場の雰囲気が盛り上がった際や、演奏が中断してしまった際などに、急遽演奏されることもあります。ほぼ全てのライブDVDに収録されており、ライブで演奏される際には、発表当初は原曲よりもややテンポが速かったものの、2013年頃からは原曲と同じテンポで演奏されるようになりました。2020年には、鬼龍院翔が通販限定アルバム『うたってきりりんぱ』でこの曲をカバーしています。

『憐哀 -レンアイ-』は、シドの初期の音楽性を色濃く反映した作品であり、彼らの原点を知る上で欠かせない一枚と言えるでしょう。

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