憑物語

憑物語の概要

『憑物語』（ツキモノガタリ）は、著者西尾維新による怪異をテーマにした青春小説です。この作品は、人気シリーズ〈物語〉シリーズの第10作目として、2012年9月に講談社BOXレーベルから出版されました。イラストはVOFANが手掛けています。さらに、2014年12月31日には、この小説が原作のテレビアニメが東京MXなどで全4話が一挙放送されるなど、多くのメディアに展開されている作品です。

物語の背景と位置づけ

本作は、現代の怪異世界を背景に、前作『化物語』や『偽物語』から続く物語であり、シリーズのファイナルシーズンにあたる「終焉三部作」の第一弾に位置づけられます。物語の中心となるエピソードは「よつぎドール」と題され、ここでは前回のエピソードから引き続き登場しているキャラクターがメインに描かれます。特に憑喪神の少女、斧乃木余接が大きな役割を果たしています。

時系列としては、前作『恋物語』の後に続く物語で、物語は高校3年生となった主人公、阿良々木暦の視点から語られます。彼はこの段階で大学受験を控えている受験生として描かれています。

ストーリーの展開

物語は、2月のある日、暦が自らの体に異変を感じ取るところから始まります。鏡に映らず、妹に踏まれて足が素早く回復するなど、不思議な現象が続きます。実は暦の影には幼い吸血鬼、忍野忍が存在しており、彼女に血を吸われることで暦は吸血鬼の力を得ることができるのですが、最近はそれを行っていないため、こうした異変は混乱の元となります。

彼はこの謎を解明するために、不死身の怪異に詳しい影縫余弦と余接に助けを求めます。余弦の診断によると、何度も吸血鬼化した結果、暦は生まれつきの吸血鬼になりつつあると指摘されます。この事実がさらに彼の身に悪影響を及ぼし、これ以上力を使うと人間に戻れなくなってしまうことを知ることになります。

そして、彼の決意が揺らぐ瞬間、妹たちが誘拐されるという衝撃の知らせが入ります。この出来事は暦にとって新たな試練となり、彼は彼女たちを救うため、持てる力を振り絞ることに。

キャラクターたち

本作には多彩なキャラクターが登場し、それぞれが物語に独特の色を添えています。

• - 阿良々木暦：物語の主人公で、高校3年生。彼の成長と苦悩がメインのストーリーを形作ります。
• - 忍野忍：暦の影に宿る吸血鬼の少女。彼女の存在が物語の鍵となっています。
• - 斧乃木余接：憑喪神の少女で、独特の技術を持つ彼女が物語のサポートキャラクターとなります。
• - 影縫余弦：不死身の怪異を専門とする陰陽師で、現れる度に異なる様相を持った余接を従えています。
• - 阿良々木火憐と月火：暦の妹達で、物語の中で重要な役割を果たすキャラクターです。

本作は、各キャラクターの個性が引き立ち味わい深い物語展開が魅力となっており、吸血鬼や怪異についての新たな視点が描かれています。特に友情や家族の絆がテーマになっており、瞳に焼き付く印象深いシーンが多いのが特徴です。

『憑物語』は、西尾維新の独特な文体と魅力的なキャラクターが織りなす、思わず引き込まれる一冊に仕上がっています。

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