成田鉄道D1001形ディーゼル機関車

成田鉄道D1001形ディーゼル機関車

成田鉄道D1001形ディーゼル機関車（なりたてつどうD1001がたディーゼルきかんしゃ）は、成田鉄道の2代目が1931年に導入したディーゼル機関車です。この機関車は、日本の地方鉄道向けディーゼル機関車として初めてのモデルであり、同時に日立製作所が製造した初のディーゼル機関車でもあります。

概要

D1001形は、多古線での貨物列車牽引を目的に日立製作所で1両製造されました。当初は試作機としての色彩が強かったものの、転属や改造を経て約50年の長きにわたり運用されました。

構造

D1001形は全長7,350mmで、標準的には20t級とされますが、実際の重さは22.1tに達しています。車体は凸型構造を持ち、搭載する機関の影響でほぼ正方形に近く背の高いボンネットが特徴です。運転台は中央に位置し、一見するとセンターキャブ形式のように見えますが、実際は微妙に異なるボンネットの長さがあります。ホイールベースは2,900mmで、動輪径も1,070mmと小型機関車としてはやや大きめです。

車体はリベットで組み立てられおり、無骨な外観が印象的です。また、冷却用のラジエターは大きく、ボンネットの妻面に設置されています。運転台は前後の妻面に出入口があり、中心に運転室があります。

主要機器

D1001形には、池貝鉄工所製の船舶用ディーゼルエンジンを基に設計変更された6SD18型ディーゼルエンジンが搭載されています。エンジンは縦型直列6気筒、水冷式で、定格出力は150HP。最大185HPを発揮します。シリンダーのサイズはボア×ストローク共に大きく、冷却システムも効率的です。

このエンジンからの動力は多板式クラッチと4段変速機を経由して運転台の床下のジャック軸に伝達されます。D1001形は小運転用として設計されているため、最高速度は35km/hに抑えられています。

運用

D1001は1931年6月に竣工し、成田鉄道に納入されました。当時、成田鉄道は蒸気機関車を使用していましたが、1928年からのガソリン動車導入を経て、D1001の登場によってさらなる運用が進みました。しかし、戦時体制下の燃料不足やメンテナンスの難しさから、1940年代初頭には稼働実績が低下しました。

1944年には当機関車は不要となり、武蔵野鉄道へ譲渡されますが、その後のメンテナンスが不十分で不調が続き、最終的には1949年に除籍されます。

最終期

D1001はその後、他の機関車として復旧作業を受けますが、完全に復旧することはありませんでした。1963年には武蔵野鉄道へ戻り、機関と変速機の完全換装が行われ、名目上は新たな形式車両として改良されました。1969年には正式に廃車されましたが、その後もしばらくの間、保線工事で使用され続けました。

D1001形は古い試作機ではありましたが、長寿とさまざまな運用の中で歴史の一部を形成しました。1977年に最終的に解体された際も、その存在は鉄道ファンの間で語り継がれることになります。

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