成田順

成田順: 日本の家政学者と洋裁教育の先駆者

成田順（なりた じゅん、1887年8月16日 - 1976年6月24日）は、日本の家政学者として女子教育の発展に多大な貢献をした人物です。彼女は教育の現場に洋裁を取り入れ、女性の社会進出を促進するために尽力しました。

生い立ちと教育経歴

成田順は、京都府で南部栄太郎の三女として生まれました。少女時代を京都で過ごした後、京都府師範学校女子部を卒業し、さらに東京女子高等師範学校で学びました。1910年には同校を卒業し、その後、附属小学校で7年間教鞭を執った後、付属高等女学校の裁縫科に転任しました。この頃、洋装の生徒が増えていく中で、成田は洋裁教育に興味を持ち、学校のカリキュラムにこれを取り入れるようにしました。

彼女は1923年から自身も洋装を始め、その後、洋裁指導書を数冊刊行しました。その中で、和服よりも洋服の方が現代社会には合理的であるとし、女性の自立の一環として洋装の重要性を説きました。

海外留学と教育的役割

1926年には、文部省の派遣留学生としてイギリスに留学し、ロンドンの三つの裁縫学校で洋裁技術を習得しました。1928年に東京女子高等師範学校の教授に就任し、翌年には初の女性督学官に任命されます。この役職では、全国の女学校を視察し、洋裁教育の普及に積極的に取り組みました。

成田は、裁縫科の教授要目を改正するなど、教育制度の近代化にも貢献したことで知られています。1949年に東京女子高等師範学校がお茶の水女子大学に改組されると、彼女は同大学の教授に就任しました。1954年に定年退職後も文化女子大学の教授として活動し、13年間学長を務めました。

家族と親戚

成田の夫である成田千里も教育者として知られており、1912年に結婚しました。千里は様々な教育機関で指導的役割を果たしており、東京都教育委員会の委員長を務めたこともありますが、教育庁内での不祥事によって辞任する事態もありました。成田順には実子はいませんでしたが、夫の死後にサッカー選手の成田十次郎を養子として迎え入れました。また、甥には東京学芸大学元教授の米津千之がいます。

著作

成田順は、多くの著作を残しています。主な著作には以下のものがあります：

• - 『小学校における裁縫教材と其の指導法』（南光社, 1923）
• - 『高等小学校並に高等女学校初年級に於ける裁縫教材と其の指導法』（南光社, 1924）
• - 『裁縫科の時代化』(南光社, 1924)
• - 『子供服の時代化』（大成書院, 1932）
• - 『裁縫随想』（大成書院, 1937）
• - 『被服教育六十年の回顧』（1974）

成田順は、88歳で生涯を閉じるまで、女子教育と洋裁教育の分野で多くの足跡を残しました。彼女の業績は、現在も多くの人々に影響を与え続けています。

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