我等の仲間

ジュリアン・デュヴィヴィエが監督を務めた1937年のフランス映画『我等の仲間』（フランス語原題：La belle equipe）は、一攫千金を手にした男たちの共同生活とその破綻を描いた人間ドラマです。

物語は、宝くじによって10万フランというまとまった大金を手にした5人の労働者たちのグループを中心に展開します。彼らはその当選金を元手に、理想の生活を実現しようと計画を立てます。具体的には、美しい小川のほとりに佇む別荘を購入し、「ベル・エキップ - 我等の家」と名付けたその場所を改装して共同で店舗を開業するという夢を共有します。

当初は夢の実現に向けて希望に燃え、力を合わせて作業を進めますが、共同生活の中で次第に人間関係に亀裂が生じ始めます。お金や女性を巡る諍い、あるいはそれぞれが抱える個人的な問題などが原因となり、かつての固い友情は揺らぎ始めます。理想を追う彼らの計画は、現実の厳しい壁や互いへの不信感によって次第に暗礁に乗り上げ、やがてそれは回復不能な破綻へと向かいます。そして、当初5人だった仲間は、一人また一人とグループから離れていくことになります。

本作は、その結末が異なる二つのバージョンが存在する点が大きな特徴です。一つは比較的希望を残すハッピーエンド版、もう一つはより悲劇的な結末を迎えるバージョンであり、どちらの結末を採用するかによって作品全体の印象が大きく変わります。

主要スタッフとして、本作の監督に加え、シャルル・スパークと共に脚本も手掛けたジュリアン・デュヴィヴィエの名前が挙げられます。撮影はジュール・クリュージェが担当し、モーリス・ジョベールとモーリス・イヴェンが音楽を担当しました。また、日本でのテレビ放送時には、ザック・プロモーションが日本語版の制作を行いました。

また、『我等の仲間』は後世の日本の作品に多大な影響を与えたことでも知られています。例えば、特撮映画の脚本家として活躍した高橋二三は、本作を自身の特に愛する映画として公言しており、『大怪獣決闘 ガメラ対バルゴン』の脚本執筆に強い影響を受けたと語っています。東映ヤクザ映画の傑作『仁義なき戦い』シリーズで知られる脚本家の笠原和夫もまた、同作の執筆にあたって、主演ジャン・ギャバンを擁する本作の群像描写や人間関係の描き方を手本にしたと言われています。さらに、日本の人気テレビドラマである『王様のレストラン』では、物語の舞台となる架空のレストランの名前が「ベル・エキップ」と名付けられており、劇中に登場する人物名にも監督デュヴィヴィエの名が用いられるなど、本作へのオマージュが見られます。

本作の主題歌である「水の畔を歩いてみれば」（Quand on s'proméne au bord de l'eau）も、作品を象徴する楽曲として記憶されています。ジュリアン・デュヴィヴィエが作詞を、モーリス・イヴァン、サントルイユ、ポトラが作曲を手掛けたこの歌は、主演のジャン・ギャバン自身が歌っており、劇中、仲間たちが開店を祝う陽気な場面で歌われることで、その後の悲劇的な展開との対比を際立たせています。

『我等の仲間』は、宝くじという偶然の幸運から始まった夢が、現実の厳しさや人間の複雑な感情によって脆くも崩れ去る様を描き出し、友情、裏切り、希望、そして挫折といった普遍的なテーマを深く掘り下げています。二つの異なる結末を持つことからも分かるように、人生の不確かさや運命の皮肉を問いかける作品として、公開から時を経た現在でも多くの人々に鑑賞され、語り継がれています。

日本においては、過去に何度かテレビ放送が行われています。特に、東京12チャンネル（現テレビ東京）では1978年9月22日に『想い出の名作洋画劇場』枠で、1980年1月2日には『ナショナル 懐かしの名画劇場』枠でそれぞれ放送されました。また、TBSでも1986年7月31日に深夜の『木曜ロードショー』枠で放送された記録があります。これらの放送を通じて、日本の映画ファンにも広く知られることとなりました。

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