戦力外通告

戦力外通告（せんりょくがいつうこく）

戦力外通告は、主にプロスポーツ競技において、チームが選手に対し「戦力として考慮されていない」ことを正式に伝える行為を指します。この通告は、特に日本のプロ野球において頻繁に使用される用語です。選手契約の解除や契約見直しの可能性を示唆する重要な通知であり、選手もその意味を真剣に受け止める必要があります。

日本プロ野球における戦力外通告の仕組み

日本プロ野球では、支配下登録選手の契約は毎年2月1日から11月30日（育成選手は10月31日）まで有効です。次年度も契約を希望する選手は、球団が作成する契約保留選手名簿に記載され、NPB（日本野球機構）に提出されます。この名簿に名前が載らなければ、その選手は自由契約選手として扱われ、必ずしも戦力外であるとは限りません。

シーズン中に選手が自由契約となる場合もありますが、その場合はウェイバー公示が行われ、他の球団が1週間以内に選手の獲得を希望しなければ、シーズンオフまで契約できないことが多いです。このため、契約解除の多くはシーズン終了後に発表されます。

戦力外通告が行われる理由は多岐にわたり、身体能力の低下や怪我、成績の不振など、選手の戦力としての価値が下がった場合などです。故障から復帰できない中堅選手への通告もあります。契約が複数年であった場合でも、パフォーマンスが期待に応えられなければ、契約解除がされることもあります。この場合、契約に特別な条件がない限り、残りの年俸は支払われることになります。

戦力外通告の基準と背景

元プロ野球選手の里崎智也氏は、自らのYouTubeチャンネルで戦力外通告の判断基準について詳しく述べています。主な理由は以下の4つです：
1. 技術的に未熟で未来に期待が持てない場合。
2. 年俸などの金銭面の問題。
3. プロ歴やポジションの重複。
4. 選手を無駄に使いたくない球団側の配慮。

合同トライアウトが行われる時期には、各球団は次年度のチーム編成を進めています。そのため、選手が他球団への入団の機会を得られるように、事前に戦力外であることを知らせる必要があります。これが戦力外通告の制度として定着しました。

通告の実施と影響

戦力外通告を受けた選手は契約が続くものの、一般的にチームに帯同することはなくなります。現役を続行したい選手は、トライアウトや他球団の秋季キャンプに参加して新たな契約先を探すことができます。戦力外通告が行われた選手との再契約は、合同トライアウト終了後から可能になります。

ただし、選手が自ら引退を申し出ることもあり、その際は球団側からの戦力外通告は不要となります。選手の引退勧告が早まることもあるため、戦力外通告の実施には一定のルールが設けられています。

球団は公式発表の際に「戦力外通告」という言葉を使うことは避け、例えば「来季の契約を行わない旨を通告する」といった形で発表します。ただし、育成選手としての再契約が検討される場合は、発表の内容が球団によって異なることがあります。

他のスポーツとの比較

メジャーリーグでは、日本の戦力外通告に相当する制度として「ノンテンダー」や「DFA」が存在します。特にノンテンダーは、選手に契約年俸を提示しないことで自由契約とするものであり、その後再契約が行われることもあります。

プロサッカーにおいても似たような状況が発生します。Jリーグでは、契約満了時に選手にゼロ円提示を行うことが一般的で、これが事実上の戦力外通告とみなされます。

このように、戦力外通告はプロスポーツ界において重要な制度であり、選手のキャリアを左右する大きな影響を持っています。選手やファンはこの制度を理解することで、スポーツの世界の一端を知ることができるでしょう。

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