戦勝記念塔 (ベルリン)

戦勝記念塔（Siegessäule）は、ドイツ・ベルリンのティーアガルテンの中央にそびえ立つ、高さ67メートルの石造の塔です。塔の頂上には、金色の勝利の女神ヴィクトリア像が輝いています。

歴史

建設は1864年、デンマーク戦争での勝利を記念して開始され、1872年に完成しました。建設期間中に普墺戦争（1866年）と普仏戦争（1870年 - 1871年）でも勝利を収めたため、これらの戦勝も顕彰する記念碑となりました。

構造

塔内部には、頂上の展望台に通じる285段の螺旋階段が設けられています。階段を上ることで、ベルリン市街の壮大な景色を一望できます。

移設

当初、戦勝記念塔は帝国議会前の広場に建てられていました。しかし、アドルフ・ヒトラーがベルリンを世界首都に改造する「ゲルマニア計画」を実行するにあたり、1939年に現在のティーアガルテンのグローサーシュテルンのロータリー中央に移設されました。

レリーフ

塔の台座には、大勝利の模様を描いた銅版レリーフが四面に埋め込まれています。これらのレリーフのうち、普仏戦争とデンマーク戦争に関するものは、第二次世界大戦後にフランスへ持ち去られていましたが、独仏融和を重視するミッテラン政権時代に返還されました。

第二次世界大戦

第二次世界大戦中、ベルリン市街戦において、兵士たちが戦勝記念塔に立て籠もり、激しい戦闘が繰り広げられました。広場の石には大きな焦げ跡が残り、塔自体にも銃撃や砲撃による弾痕が多数残っています。これらの傷跡は、戦争の激しさを物語る生きた証となっています。

落書き

塔内部の壁面は、他のヨーロッパの建築物と同様に、世界各国からの観光客による落書きで埋め尽くされています。これらの落書きは、戦勝記念塔が多くの人々に訪れられ、様々な思いが交錯する場所であることを示しています。

ベルリン・天使の詩

ヴィム・ヴェンダース監督の映画『ベルリン・天使の詩』では、戦勝記念塔が物語の重要な要素として登場します。天使たちが塔の上からベルリンの街を見下ろすシーンは、映画史に残る名場面として知られています。

戦勝記念塔は、ベルリンの歴史と文化を象徴する重要な建造物であり、多くの観光客や地元の人々に親しまれています。

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