戸嶋秀夫

戸嶋秀夫：タックルマンの異名をとったレジェンド

戸嶋秀夫氏（1954年8月11日 - 2014年6月28日）は、日本のラグビー界にその名を刻んだ伝説的な選手です。秋田県出身で、金足農業高等学校から日本大学へと進学。卒業後は秋田市役所に入所した後、東芝府中へ移籍しました。

ウィング（WTB）とフルバック（FB）を主戦場とし、日本代表として14キャップを獲得しました。彼の兄、戸嶋文夫氏も元ラグビー選手であり、兄弟揃ってラグビー界に貢献したことは特筆に値します。

圧倒的なタックルと献身的なプレー

戸嶋氏のプレーを語る上で外せないのが、その強烈なタックルです。現役時代、彼は「タックルマン」と称されるほど、相手選手をなぎ倒す圧倒的なタックルで知られていました。

その象徴的な出来事として、1984年度の全国社会人ラグビーフットボール大会準決勝、対新日鐵釜石戦が挙げられます。東芝府中の及川紳一選手が放ったハイパントボールの競り合いの最中、戸嶋氏は釜石の谷藤尚之選手と金野年明選手の2人を同時に倒す、驚異的なタックルを見せました。このプレーは、その後東芝府中のトライに繋がるなど、試合の勝敗を大きく左右する重要な場面となりました。

劇的な逆転勝利と社会人大会優勝

一度は現役を引退した戸嶋氏でしたが、1987年度の全国社会人大会開幕直前に電撃復帰。この大会1回戦、神戸製鋼戦では、ノーサイド間際まで10-15とリードを許す苦しい展開でした。しかし、左サイドを突破した戸嶋氏は、自らトライを狙わず、中央へパス。このパスを受けたチームメイトがトライを決め、さらにコンバージョンも成功。16-15という劇的な逆転勝利を収めました。この勢いをそのままに東芝府中は、悲願の全国社会人大会初優勝を達成しました。

この試合で見せた、勝利への執念と献身的なプレーは、戸嶋氏のラグビーに対する情熱を象徴する出来事と言えるでしょう。

指導者としてのキャリア

選手引退後は、東芝府中の監督を務め、後進の指導にも力を注ぎました。選手として培った経験と知識を活かし、多くの若手選手を育成したことは間違いありません。

まとめ

戸嶋秀夫氏は、類まれな才能と献身的なプレーで、日本のラグビー界に大きな足跡を残しました。「タックルマン」として知られる強烈なタックルと、勝利への執念、そしてチームメイトへの信頼を示す献身的なプレーは、多くのラグビーファンに感動と勇気を与え続けました。彼の功績は、これからも語り継がれていくことでしょう。彼の活躍は、『ラグビー日本代表 激闘の記憶』（ベースボールマガジン社）の65ページにも掲載されています。また、『皇族も愛した名ウイングの訃報』（2014年07月03日、東京スポーツ）という記事からも、彼の偉大さが伺えます。

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