戸田氏西

戸田氏西：財政難に挑んだ大垣藩主

戸田氏西（とだ うじあき、1627年12月8日 - 1684年7月19日）は、江戸時代前期に美濃国大垣藩を治めた大名です。大垣藩戸田家4代当主であり、第2代藩主戸田氏信の長男として誕生しました。母は牧野忠成の娘、正室は内藤忠政の娘です。

氏西は幼名を新二郎といい、寛文11年（1671年）、父から家督を継ぎました。しかし、その時点ですでに大垣藩の財政は深刻な状況に陥っていました。そこで氏西は、藩の立て直しを図るべく断行的な改革に乗り出します。

まず、寛文11年（1671年）には不破郡の検地を実施。この取り組みは幕府から高く評価されました。さらに、藩の行政機構改革として、郡奉行制から代官制への移行を断行。そして、延宝の大暇と称される大規模な家臣団の整理（リストラ）を実施しました。これは実に176人にも及ぶ大規模なものでした。

財政再建策として、経費節減にも徹底的に取り組みました。天和元年（1681年）には半知借上げを実施。藩札の発行にも着手しました。しかしながら、これらの改革にもかかわらず、大垣藩の財政状況は改善せず、むしろ悪化の一途を辿ることになります。

一方、氏西は政治面でも重要な役割を担いました。延宝4年（1676年）、遠藤常友の死去により家督を継いだ郡上八幡藩主遠藤常春がまだ幼少であったため、幕府から常春の生母の兄弟である氏西が後見を任命されました。これは氏西の政治的な影響力と信頼の高さを示す出来事といえます。

氏西は、貞享元年（1684年）6月7日、58歳で江戸で亡くなりました。その死後、家督は長男の戸田氏定が継承しました。氏西の藩政改革は結果として成功とは言い難いものでしたが、財政難という困難な状況の中で断固たる決断を下し、藩の立て直しに尽力した彼の生涯は、江戸時代前期の大名像の一端を垣間見せるものと言えるでしょう。

系譜

父：戸田氏信（1600-1681）
母：嶺秀院（牧野忠成の長女）
正室：内藤忠政の娘
長男：戸田氏定（1657-1733）
* 次男：戸田氏成（1659-1719） - 戸田氏利の養子

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