戸隠そば

戸隠そば

戸隠そばは、長野県長野市戸隠地区（旧戸隠村）で古くから作られてきた蕎麦で、岩手県のわんこそば、島根県の出雲そばと並び、日本三大そばの一つとして知られています。

歴史と由来

戸隠は山岳信仰の地として栄え、修験者が多く集まっていました。彼らの携帯食として蕎麦が持ち込まれたことが、戸隠そばの始まりとされています。当時の蕎麦は、現在の蕎麦切りではなく、蕎麦がきや蕎麦餅のような形態だったと考えられています。

戸隠そばの特徴

戸隠そばには、以下のような特徴があります。

蕎麦粉: 蕎麦の甘皮を取らずに挽く「挽きぐるみ」の蕎麦粉を使用します。中には、玄蕎麦まで挽き込むこともあります。
蕎麦の延し方: 一般的な四つ出し（四角く伸ばす）ではなく、丸く伸ばします。
麺棒: 一本のみを使います。
水切り: 蕎麦を茹でた後、ほとんど水を切らずに出します。
盛り付け: 「ぼっち盛り」と呼ばれる独特の盛り付け方をします。これは、一つのざるに5～6束の蕎麦を、開口部のつぶれた馬蹄形に盛る形式です。ぼっち（束）の数は、戸隠の地域によって異なります。
器: 根曲り竹で編まれた円形のざるに盛ります。
海苔: 「ざるそば」であっても海苔はかけません。
薬味: 薬味には、信州の伝統野菜にも認定されている地元の「戸隠大根」と呼ばれる辛味大根を使用します。
蕎麦前: 蕎麦が出てくるまでの間には、自家製の漬物などが供されることが一般的です。
天ぷら: 天ぷらには、ワラビやコゴミといった地元で採れる山菜がふんだんに使われます。

戸隠では、各家庭に蕎麦打ち職人がいると言われるほど、蕎麦が生活に深く根付いています。

戸隠以外での戸隠そば

「ぼっち盛り」と円形のざるは戸隠そばの特徴ですが、近年では「戸隠そば」の名前が信州そばの一つとして一般化し、戸隠以外の地域でも「戸隠そば」の名称で提供される蕎麦や、スーパーなどで販売されている商品が多く見られます。

「戸隠そば」の商標登録

地域団体商標の登録が可能になって以降、長野県信州そば協同組合、長野県麺業協同組合、戸隠そば協同組合から相次いで「戸隠そば」の地域団体商標登録申請が行われましたが、2013年3月現在、すべて登録拒絶されています。

博物館

戸隠そば博物館とんくるりん: 長野県長野市戸隠にある博物館。「とんくるりん」の名前は、戸隠そばを作る際に蕎麦をひっくり返す動作に由来します。

参考文献

『信州・戸隠 手打そばの技術』 戸隠そば商組合監修 ISBN 4-7511-0054-8 C2077 1995年

関連項目

信州そば
戸隠

外部リンク

戸隠観光協会: 戸隠そばとは
とんくるりん長野市そば博物館

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