扁形動物

扁形動物とは

扁形動物（へんけいどうぶつ）とは、扁形動物門Platyhelminthesに属し、プラナリアやヒラムシ、コウガイビル、サナダムシといった動物が含まれます。この動物群は「扁形」と名付けられているように、体の形状が平らであることが特徴です。また、循環器官や特別な呼吸器官は持っておらず、栄養や酸素の運搬は体内での拡散に依存しています。個体によって細長い形状になったりするものもいますが、体が丸くなったりすることは構造上できません。さらに、扁形動物には肛門が存在しない点も特筆すべき特徴です。

特徴と生態

扁形動物は左右相称の体形を持っており、前後および腹背の区別があります。自由生活をする種類には、目や平衡胞、触覚器をもった頭部があり、神経組織が集まって脳が形成されています。一方、寄生生活を送るものはそのような器官が退化し、体を固定するための吸盤などの構造が発達しています。

内部構造は三胚葉性ですが、他の三胚葉性動物とは異なり、中胚葉が筋細胞と間充織で構成され、表皮と腸管の間を埋めています。扁形動物は無体腔動物と呼ばれることもあります。消化管は袋状で、口と肛門が共通しており、消化管の分枝が体内に広がっています。ただし、無腸類においては消化管は実質的に存在しません。これらの動物は口内が多核である合胞体で構成され、食物を取り込んで細胞内で消化します。吸虫においては消化管が残存していますが、条虫ではほぼ全て退化しています。

神経系においては中枢神経と末梢神経が区別され、頭部に脳が存在します。その脳からは左右に一本ずつ神経が伸び、神経系ははしご形に近い構造を持っていますが、その体節構造が不明瞭なため、かご形神経系と呼ばれます。

生殖方法

生殖は大部分が体内受精によって行われ、多くの種で交尾器が発達しています。無性生殖（無性子）と有性生殖（有性子）と呼ばれる二つの生殖方法があり、卵は最大で8個の胚を持つことがあります。寄生性のサナダムシや吸虫の種には、幼生が多胚形成によって無性的に増殖することがあります。また、自由生活している渦虫の中には自らを再生できる能力を持つ種も存在しています。

発生

扁形動物の発生は螺旋卵割に基づいており、渦虫の中には簡単な幼生を形成するものがあります。これらはミュラー幼生やゲッテ幼生と呼ばれ、いくつかの点でトロコフォア幼生に似ています。ただし、多くの扁形動物では直接発生が行われており、寄生性の吸虫や条虫においては特殊な幼生が認められます。

系統的分類

扁形動物は腹毛動物と共に吸啜動物というグループを形成しています。従来の渦虫綱は多系統性があり、顎口動物や無腸動物は扁形動物とは異なる系統に分類されています。扁形動物内では小鎖状類が初期に分岐し、他の渦虫類や新皮類（吸虫類や条虫類）を含む系統が有棒状体類としてまとめられています。

分類

作業の結果、扁形動物は次のように分類されます。小鎖状類にはイトヒメウズムシ科やクサリヒメウズムシ科が含まれ、有棒状体類には多岐腸類や三岐腸類、条虫類などが存在します。これらの分類はWoRMS（World Register of Marine Species）に基づいていますが、分子系統学的な見地からは伝統的な分類に対する異議も有り、今後も研究が進むことが期待されています。

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