扉を開けて (小説)

『扉を開けて』

『扉を開けて』は、新井素子が1981年に『奇想天外』に発表したファンタジーライトノベルで、1986年にはアニメ映画化されました。本作は作品ごとに異なる視点から描かれる異世界を舞台にした冒険が繰り広げられ、同作が持つ独自の世界観は、後の新井の作品『ラビリンス―迷宮―』や『ディアナ・ディア・ディアス』にも引き継がれています。

概要

本作は、物語の中心に位置する「中の国」という異世界が登場します。ここは「西の国」の植民地で、圧政を強いる将軍デュラン三世の支配下にあります。異世界に迷い込んだ主人公、美弥子とその友人である斉木杳は、自らが持つ超能力を駆使しながら、民衆の期待を背負って「ネリューラ」という伝説の女王として立ち上がります。この冒険が進むにつれ、彼らは多くの試練に立ち向かうことになります。

あらすじ

物語は、大学生の根岸美弥子と彼女の友人である斉木杳の二人が中心として進行します。ある満月の夜、同級生の山岸桂一郎と共に超能力者であるかを確かめるための集まりを持ちますが、その瞬間、三人は時空の歪みに吸い込まれてしまいます。気がつくと、彼らは「中の国」に到着しており、そこでは圧政に苦しむ人々がいました。

美弥子は「ネリューラ」と呼ばれる女王の再来を待ち望む人々に祭り上げられ、この国を救うための戦いに巻き込まれます。一方、彼女の仲間である斉木は瞬間移動の能力を駆使して大きな試練を共に乗り越えています。途中で彼らは「東の国」の姫、ディミダと出会い、協力してデュラン三世の圧政を打倒するため、シャワの都へと進んでいきます。

物語のクライマックスでは、ラディンの正体がデュラン三世であることが明らかになります。彼は古の伝説を利用し、美弥子たちを異世界に呼び寄せ、歴史の流れを変えようとしていたのです。最終的に、美弥子たちは圧政を打破し、元の世界へ戻ることに成功します。

登場人物

• - 根岸美弥子（ネコ）: 超能力を持つ主人公。
• - 斉木杳: 瞬間移動の能力を持つ美弥子の友人。
• - 山岸桂一郎: 自身体をライオンに変えられる能力を持つ。
• - ラ・ミディン・ディミダ: 東の国の姫。
• - ラディン/デュラン三世: 物語の重要な悪役。

メディア展開

本作は1986年にアニメ映画及びコミカライズがされ、1987年にはパソコンゲームとしても展開されました。アニメ映画は、当時の著名なキャストを迎え、視覚的にも魅力的な作品として人気を博しました。

加えて、書籍としても様々な版が販売され、特に新装版はその美しいイラストや製本が目を引きます。新井素子のファンタジー作品群は、今なお多くのファンに支持され続けており、『扉を開けて』はその中でも特に記憶に残る作品となっています。

もう一度検索