手錠のまゝの脱獄

映画『手錠のまゝの脱獄』について

映画『手錠のまゝの脱獄』（てじょうのままのだつごく、The Defiant Ones）は、1958年に公開されたアメリカの作品で、アカデミー賞を受賞した優れた作品です。物語は、異なる人種の囚人が手錠で繋がれている状態から始まり、互いに対する偏見と葛藤を抱えながらも、逃亡を通じて友情を築いていく様子を描いています。この映画は、シドニー・ポワチエやトニー・カーティスといった著名な俳優たちの名演が光り、本作は映画史においても重要な位置を占めています。

物語のあらすじ

物語は、サウスカロライナの田舎町で、囚人護送車が事故に遭遇するところから始まります。この事故を利用して、黒人のノア・カレンと白人のジョン・“ジョーカー”・ジャクソンの二人が脱走します。しかし、彼らは50cmの手錠で互いに繋がれた状態であり、自由を求める彼らの冒険はうまくいくのでしょうか。

最初は互いに対しての先入観や敵対心が強い二人ですが、逃げるためには助け合うことが不可欠です。夜になると、小さな町に辿り着く二人は、食料を調達するために一緒に忍び込みます。しかし、何らかの理由で滑ってしまい 落下、すぐさま人々に見つかります。その場面で、彼らをリンチにしようとする町の人たちを一人の男が止め、その男が自身の過去の手錠の痕を見せて二人を助けます。この助けが、物語の核心を成すテーマの一つとなっています。

その後、奪った食料で小さな子供ビリーと接触します。彼の母親も絡むことで、ジョーカーとカレンの仲に少しずつ変化が見られます。ビリーの母親は二人に食事を提供し、双頭の危険を承知の上で友人となります。ジョーカーはビリーの母親をなだめ、彼の助けを借りながらカレンとの関係を築くことになります。しかし、そこに隠された危険な真実が、ビリーの母親から漏れたことにより、二人の友情の間に不安が芽生えます。

アクションとドラマが交錯する中、ジョーカーはカレンを救うために自らの命を懸け、再び手を差し伸べます。その瞬間、観客は彼らの友情と、繋がれた運命の重さを感じ取ることができるでしょう。

受賞歴と制作の背景

映画はアカデミー賞の脚本賞や撮影賞を受賞し、シドニー・ポワチエ氏はベルリン国際映画祭で男優賞を獲得するなど、高い評価を得ました。興味深いのは、同作の制作過程で、ジョーカー役のオーディションを受けたロバート・ミッチャムが、プロットの信憑性について懸念を示し、最終的に自らの信念を理由に出演を断ったというエピソードです。これは、映画自体が持つメッセージの複雑さや、制作チームの意図がいかに重要であったかを物語っています。

結論

『手錠のまゝの脱獄』は、社会や人間関係における真実を引き出す力を持つ作品です。手錠で繋がれた囚人二人の逃避行を通じて描かれる友情や人種を越えた絆は、今日でも多くの人々に感動を与え続けています。単なる脱獄の物語に留まらず、人間の持つ勇気や思いやりの美しさを伝える本作は、映画史に残る名作として名を馳せています。

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