打ち掛け

囲碁における「打ち掛け」とは

「打ち掛け（うちかけ）」とは、囲碁の対局を一時的に中断することを意味する言葉です。その用法は状況によって異なり、いくつかのケースが存在します。

打ち継ぐ場合

主に、二日制で行われる公式棋戦において、一日目の対局を中断することを「打ち掛け」と呼びます。この場合、最後の一手は「封じ手」として記録され、翌日の対局再開時に開封されます。

また、公式戦ではない私的な対局においても、時間的な都合などにより対局を中断することがあります。この場合、必ずしも封じ手を行うとは限らず、中断した時点から対局を再開することが一般的です。

打ち継がない場合

連碁など、縁起物として打たれる碁においては、あらかじめ時間や手数を定めておき、勝負がつかないまま途中で終了することがあります。これも「打ち掛け」と表現されることがあります。

指導碁においては、指導する側（白番を持つことが多い）が劣勢となり、指導碁としての意義が薄れたと判断した場合、指導する側が対局の途中終了を提案することがあります。これも「打ち掛け」と呼ばれることがあります。

歴史的な背景

江戸時代以前の棋譜には、「打ち掛け」と記録されているにもかかわらず、実際には打ち継がれていないものが複数存在します。これは、単に指導碁的な意味合いだけでなく、対局者間の身分や立場の違いによって、勝負を明確にすることが難しい場合に、「打ち掛け」という形をとることで、体面を保つという習慣があったためと考えられています。大勢が決した時点で「打ち掛け」とすることで、負けた側の面目を保つという、一種の配慮が働いていたのかもしれません。

打ち掛けは、単なる対局の中断というだけでなく、その背景にある様々な事情や文化的背景を反映した、興味深い言葉と言えるでしょう。

関連用語

持ち時間：対局者が持ち時間として与えられる時間。
封じ手：二日制などの対局で、一日目の最後の手を封筒に入れて、翌日まで秘密にするもの。

外部リンク

* 日本囲碁連盟 用語集

もう一度検索