扶養控除

扶養控除とは何か

扶養控除とは、納税者が配偶者以外の扶養親族を有する場合、その人数に応じて一定の金額を納税者の所得から差し引くことが認められる制度です。この制度は、主に所得税と個人住民税に適用されます。具体的には、納税者が16歳以上の扶養親族を持っている場合、その数に応じて控除を受けることができます。この扶養控除制度は、納税者が家計を支える際の負担軽減を目的としており、所得税法第84条及び地方税法第314条の2に明記されています。

扶養親族の要件

扶養親族として認められるにはいくつかの条件があります。まず、扶養する親族は配偶者以外の親族であり、これには血族や姻族が含まれます。具体的には、6親等内の血族または3親等内の姻族、あるいは都道府県知事や市町村長からの養育や養護を受けている児童や老人も対象となります。

さらに、納税者と扶養親族は「生計を一にしている」必要があります。これは日常生活において同居していることを意味し、仕事や学校のために別居している場合でも、金銭的な助けを通じて生計を維持している場合は認められます。たとえば、遠方にいる親族に仕送りをしている場合も含まれます。ただし、海外に留学している子供が1年以上出国している場合は、非居住者として扱われ、所得計算には含まれません。

なお、扶養親族の年間合計所得金額は48万円以下である必要があります（給与所得のみの場合は給与収入103万円以下）。2019年まではこの金額が38万円以下でした。また、青色申告を行う納税者の事業専従者は、年を通じて給与を受けていない場合のみ扶養親族として認められます。

控除額と留意点

扶養控除の具体的な控除額は、扶養親族の人数に応じて適用されます。特筆すべき点として、16歳未満の扶養親族に対する「年少扶養控除」は、子ども手当の導入により廃止され、所得税の扶養控除は2011年から、個人住民税の扶養控除は2012年度から適用されなくなりました。

ただし、年少扶養親族が障害者である場合、その障害者控除は認められます。また、住民税の非課税限度額の人数計算には年少扶養親族も算入されます。さらに、同居している老親については、納税者またはその配偶者の直系尊属となる場合、扶養控除の対象に含まれます。

2023年以降のルールとして、非居住者の扶養親族のうち、留学生や障害者であっても、一定の条件（生活費や教育費に38万円以上の送金を受けていないことなど）を満たさない場合は控除の対象外となります。この点も十分な注意が必要です。

まとめ

扶養控除は、納税者の税負担を軽減する非常に重要な制度です。扶養親族の要件や控除額の詳細について理解しておくことで、必要な控除を受けられる可能性が高まります。制度を利用することで、税金の軽減が可能となるため、事前に情報を確認して適切な手続きを行うことが重要です。

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