抗血栓薬

抗血栓薬とは

抗血栓薬は、血管内で血栓が形成されるのを防ぐための薬剤の総称です。血栓は、血管を詰まらせ、心筋梗塞や脳梗塞などの重篤な疾患を引き起こす可能性があります。抗血栓薬は、このような危険な血栓の予防や治療に用いられます。

米国では、アメリカ胸部医学会が臨床医向けにガイドラインを発表しており、様々な疾患の治療や予防における抗血栓薬の使用について推奨しています。

抗血栓薬の種類と作用機序

抗血栓薬は、作用機序によって大きく以下の3種類に分類されます。

抗血小板薬: 血小板は、血管が損傷した際に凝集して血栓を形成する役割を担っています。抗血小板薬は、血小板の凝集を抑制することで、血栓の形成を防ぎます。代表的な薬剤として、アスピリンやクロピドグレルなどがあります。

抗凝固薬: 血液凝固カスケードと呼ばれる一連の反応を阻害することで、血液が凝固するのを防ぎます。血液凝固カスケードは、複数の凝固因子が段階的に活性化されることで進行し、最終的にフィブリンというタンパク質が生成されて血栓が形成されます。抗凝固薬は、このカスケードの特定の段階を阻害することで、フィブリンの生成を抑制します。代表的な薬剤として、ワルファリンやヘパリン、直接作用型第Xa因子阻害薬などがあります。

血栓溶解薬: 既に形成された血栓を溶解する作用があります。血栓溶解薬は、プラスミノーゲンと呼ばれるタンパク質を活性化し、プラスミンという酵素を生成します。プラスミンは、フィブリンを分解することで血栓を溶解します。血栓溶解薬は、主に急性心筋梗塞や肺塞栓症などの緊急性の高い疾患の治療に用いられます。

その他の情報

抗血栓薬の使用にあたっては、出血のリスクに注意する必要があります。特に、抗凝固薬や血栓溶解薬は、出血傾向を高める可能性があるため、医師の指示に従って慎重に使用する必要があります。また、他の薬剤との相互作用にも注意が必要です。抗血栓薬を使用する際には、必ず医師や薬剤師に相談し、適切な使用方法を確認するようにしましょう。

参考情報

抗凝固療法（英語） / American Society of Hematology

関連項目

直接作用型第Xa因子阻害薬
ワルファリン

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