折返しダイポールアンテナ

折返しダイポールアンテナとは

折返しダイポールアンテナ（フォールデッドダイポールアンテナ）は、無線通信で用いられるアンテナの一種です。ダイポールアンテナを改良したもので、中波から超短波帯域で広く利用されています。特に、八木・宇田アンテナの放射器として使われることが多いです。

構造

このアンテナは、1/2波長のダイポールアンテナと並行に、もう1本の導線（エレメント）を配置し、両端を接続した構造をしています。この構造により、直流的にはショート状態となり、静電気や誘導雷から無線機を保護する効果があります。また、全長が1/2波長の場合には「自己平衡作用」が働き、不平衡給電が可能となります。

特徴

折返しダイポールアンテナのインピーダンスは、ダイポールアンテナの約4倍、約293Ωです。そのため、一般的な50Ωや75Ωの同軸ケーブルで給電する際には、インピーダンス変換器（バラン）が必要です。しかし、300Ωの平行フィーダー線を使用する場合は、そのまま接続できます。

ダイポールアンテナと比較して、折返したエレメントとダイポールアンテナ部の間隔など、設計の自由度が高いのが特徴です。これにより、指向性や周波数帯域をある程度調整できます。また、ループアンテナは折返しダイポールアンテナのエレメントを円形に変形したものとみなすこともできます。

用途

家庭用では、FMラジオの受信用アンテナやテレビ受信用室内アンテナとして用いられています。これらのアンテナは、平行フィーダー線や2本のU字型エレメントで構成されています。

発展型

折返しダイポールアンテナには、さまざまな発展型があります。例えば、エレメントの折返し数を増やしたり、エレメントの太さの比を変えてインピーダンスを調整したりするタイプがあります。また、グランドプレーンアンテナ（GPアンテナ）のエレメントを折返したものや、ダイポールアンテナの片側エレメントのみを折返し、バランなしで同軸ケーブルに直接接続するタイプも存在します。

特に、GPアンテナに適用したものは、150MHz帯や400MHz帯の業務無線局の基地局用アンテナとして広く普及しています。

関連事項

ダイポールアンテナ
八木・宇田アンテナ
ループアンテナ
Folded dipole antenna (英語)

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