抜山平一

抜山平一について

抜山平一（ぬきやま へいいち）は、1889年9月23日に東京府で生まれた著名な電気工学者であり、1965年8月18日に逝去しました。彼は東北大学の名誉教授として、その知識と専門性が高く評価される存在でした。彼の主な業績は、電磁気学の基礎理論に基づく電気音響変換理論の確立です。この理論は、音波や超音波の送受信を扱うだけでなく、モーターや発電機といった電動機における動力変換をも包含する広範な内容を持っています。

経歴

抜山は1907年に東京府第一中学を卒業した後、東京帝国大学工科大学電気工学科を1913年に卒業しました。その年の8月には仙台高等工業学校の講師として着任し、1917年にはハーバード大学へ留学。Kennellyの指導の下でモーショナルインピーダンスの測定を通じ、電気音響変換の研究を進めました。1918年には東北帝国大学の教授に就任し、工学部長や付属電気通信研究所の初代所長（1935年）など、幾つかの要職を歴任しました。1950年には電波監理委員会委員に就任し、1952年に定年退官を迎えました。

家族

彼の家族も学問の道を歩んでおり、父の抜山庄次郎は元加賀藩士で特許弁理士として成功を収めていました。また、彼の母、つぎも教育者でした。弟の抜山大三は東京帝国大学の教授であり、さらに別の弟の抜山四郎も東北帝国大学の教授でした。妻のとみえは、陸軍砲兵大佐の二女であり、教育に尽力していたことでも知られています。

業績

抜山の研究は主に電気工学の分野で行われ、特に電磁気学、電気音響学、水中音響学、超音波工学における貢献が著名です。彼は電磁気学の分野で新たに「抜山ベクトル」という概念を提唱し、ポインティングベクトルに類似した考え方を導入しました。また、彼の電気音響変換に関する理論は、音響工学における重要な礎として位置づけられています。

音響工学では、スピーカーやバイブロメーターなどの音響機器や、建築空間における音響特性の研究を行い、人間が受け取る音の立体性や心理音響にも寄与しました。さらに水中音響分野においては、可聴音や超音波を用いたマイクロホンや指向性探知の技術を発展させました。

また、超音波に関連する研究では、振動子やソナーなど、さまざまな応用技術の開発に寄与しています。彼の多様な業績は、電気工学や音響技術の発展に非常に大きな影響を与えました。

著書と特許

抜山は数多くの著書を残しており、代表作には『電磁気学〈第1巻〉総論』や『電気音響機器の研究』があります。特許も取得しており、アメリカ合衆国での特許番号も存在します。彼の研究成果は学術界だけでなく、産業界にも広く影響を与えていることがわかります。

まとめ

抜山平一は、日本の電気工学の発展に多大な貢献をしてきた偉大な人物であり、その理論や技術は現在でも多くの分野で活用されています。彼の功績は、今後も長く語り継がれていくことでしょう。

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