拘禁刑

拘禁刑とは

拘禁刑とは、自由刑の一種であり、受刑者の身柄を拘束することを内容とする刑罰です。主にアメリカ合衆国、イギリス、フランスなど、自由刑に区分を設けない法制度を持つ国々で用いられる言葉です。これらの国では、自由刑を単一の刑種として扱い、その表現として「拘禁刑」が用いられます。例えば、アメリカ合衆国の自由刑であるImprisonmentや、イギリスの自由刑であるCustodial Sentenceなどが、公的な資料で「拘禁刑」と訳されることがあります。

日本における拘禁刑

日本では、自由刑は作業義務の有無によって、懲役、禁錮、拘留のように区分されています。そのため、現在「拘禁刑」という区分は存在しません。しかし、2021年12月に法務省が、従来の懲役刑と禁錮刑を一本化し、拘禁刑を導入する方針を決定しました。この改正は、2023年11月7日に施行日が2025年6月1日と定められ、今後、日本の刑罰制度に拘禁刑が導入されることになります。

拘禁刑の導入により、懲役受刑者に課せられていた刑務作業は義務ではなくなります。これにより、受刑者の更生に向けた指導や教育に注力できるようになるほか、高齢受刑者のリハビリや若年受刑者の更生指導の充実が期待されています。

各国の拘禁刑

アメリカ合衆国

アメリカ合衆国では、拘禁刑は刑務作業を内容とするものではありません。しかし、連邦規則では、身体的・精神的に可能な受刑者には作業が割り当てられます。ただし、拘禁刑の内容は州によって異なります。

ニューヨーク州

ニューヨーク州では、自由刑としてImprisonment（拘禁刑）が設けられています。重罪には終身刑または1年から25年の有期刑、軽罪には原則1年以下の刑期が科せられます。受刑者は社会化と更生に資する教育プログラムを受けることが推奨され、身体的に支障のない受刑者は、毎日8時間以内であれば作業に従事できます。この作業は、施設や州機関のための生産活動や、職業訓練などを目的としています。

カリフォルニア州

カリフォルニア州では、受刑者に作業義務が課せられています。この作業には、刑務作業だけでなく、教育や治療プログラムも含まれます。一部の刑務所では、山林火災の消火作業が刑務作業として提供されており、2017年の山林火災の際には、500人以上が消火作業に従事しました。この作業に対する報酬は時給1ドルですが、カリフォルニア州の刑務作業の中では最高額となっています。

イギリス

イギリスでは、自由刑としてCustodial Sentence（拘禁刑）が設けられています。イギリスの拘禁刑も、刑務作業を刑罰の内容とするものではありませんが、行刑法令では受刑者は作業に就くことを求められます。また、全ての刑務所において教育の提供が義務付けられており、作業時間の一部を教育に充てることができます。

フランス

フランスの拘禁刑では、受刑者に作業義務はありません。しかし、刑務所長などから提案された活動（作業、職業訓練、情報、教育、文化、社会文化、スポーツなど）の少なくとも一つに参加する義務があります。また、施設長の許可を得れば、作業に従事することも可能です。これらの活動は、受刑者の社会復帰や行状の評価において考慮されます。

ドイツ

ドイツでは、自由刑としてFreiheitsstrafe（拘禁刑）が設けられています。終身刑と1ヶ月から15年の有期刑があります。ドイツの拘禁刑も刑務作業を刑罰の内容とするものではありませんが、行刑法令で受刑者は作業または労作を行うことが義務付けられています。受刑者は原則として年に3ヶ月まで施設内の補助活動への就業を義務付けられますが、65歳以上の者や妊産婦は免除されます。

まとめ

拘禁刑は、自由刑の一種であり、受刑者の身柄を拘束する刑罰です。国によって制度の内容は異なりますが、刑務作業を刑罰の内容としない点で共通しています。多くの国で、受刑者の更生に向けた教育や職業訓練などの活動が重視されています。

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