招待所 (北朝鮮)

招待所について

招待所（しょうたいじょ）は、朝鮮民主主義人民共和国に存在する特別施設で、特に外国からの拉致被害者や工作員が住むための場所です。この施設は、一般の北朝鮮の住民との接触が厳しく制限されており、主に山間部や僻地に設置されています。完全に隔離された環境で、多くの場合、居住者はまかない付きで生活を送ります。

構造と日常生活

招待所は特殊な任務を持つ人々を対象にした施設で、外部からは武装した警備員が常駐しており、厳重な管理が行われています。このような環境において、工作員は宿泊し、必要な教育や訓練を受ける場となります。また、拉致被害者のように、一般住民から隔離される必要がある人々もここで生活を送ることになります。招待所内では、数名のスタッフが被住者の生活を支える役割を担っており、特に中年女性が「アジュンマ」と呼ばれ、料理を作ることが一般的です。さらに、若い女性が給仕や清掃などの作業を担当する場合もあります。

特に注意すべきは、ラティ被害者や工作員がサポート役の人々と対面することが常に禁じられているという点です。これにより、拘束された人々が周囲の人と直接話したり、情報を得たりすることができなくなっています。また、無許可の外出が禁止されているため、招待所内での生活は完全に制御されています。

事例と証言

2019年に帰国した日本人拉致被害者たち5人は、北朝鮮に連行された際、招待所で朝鮮語の習得を強いられた体験について証言しています。このような教育活動は、拉致された人々の隔離された生活において、工作員としての適応を促進する目的で行われていると言われています。こうした実態は、招待所が単なる居住施設である以上に、北朝鮮による拉致や情報収集のための管理的な機関であることを物語っています。

まとめ

招待所は、朝鮮民主主義人民共和国の特殊な施設で、特別な役割を持つ人々や拉致された外国人が厳重な監視のもとで生活する場です。この施設における日常は、外部との断絶や情報統制によって成り立っており、招待所内部の環境や生活は外部にはあまりに知られていないのが現状です。

参考文献

• - 荒木和博『拉致 異常な国家の本質』勉誠出版、2005年2月。
• - ロバート・ボイントン 著、山岡由美 訳『「招待所」という名の収容所―北朝鮮による拉致の真実』柏書房、2017年8月。

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