持続可能な開発のための教育

持続可能な開発のための教育（ESD）

持続可能な開発のための教育（ESD）は、持続可能な社会を築くために必要な考え方や行動を育成する教育の枠組みです。これは、環境問題、貧困、人権、平和、発展といった多様な問題に取り組むための能力を高め、個人や地域社会が積極的に問題解決に向かうことを促すことを目的としています。

ESDの基本的な理念

ESDは「think globally, act locally」という考え方に基づいています。つまり、地球規模の課題を認識しつつ、地域の特性や問題を踏まえて具体的な行動を起こすことが奨励されます。これにより、持続可能ではない未来を迎えないために、地域での学びや活動を通じて新たな価値観や行動が育まれ、持続可能な社会の実現に寄与することを目指します。

この教育は、政府、NGO、教育機関、企業など、多様なステークホルダーが協力して行われることが理想とされています。市民全体が問題意識を高め、改善策を考案し、実践することが求められます。また、ESDは年齢や学習の場に限定されることはなく、すべての人々に開かれた生涯学習の一環として位置づけられています。

SDGsとの関連

2015年に採択された持続可能な開発目標（SDGs）においては、特にゴール4の「質の高い教育」が関わっており、ESDが重要なキーワードとして位置づけられています。国際連合教育科学文化機関（UNESCO）は、持続可能な開発のための教育を推進するための主要なプログラムの一つとしてESDを取り組んでいます。

歴史的な背景

持続可能な開発という考え方は、1980年代に国連環境計画（UNEP）や国際自然保護連合（IUCN）などの機関によって初めて提唱されました。それ以降、さまざまな国際会議やサミットを通じてその重要性が認識され、特に1992年のリオデジャネイロの地球サミットでは「アジェンダ21」において教育の役割が強調されました。2005年から2014年までの期間は「国連持続可能な開発のための教育の10年」として位置づけられ、多くの国で実施されることとなりました。

日本における取り組み

日本では、政府が関係機関と連携し、ESDの促進に向けた取り組みを行っています。2006年には、全国10地域でESDの実施地域が選定され、教育機関を通じた推進が図られました。また、日本ユネスコ国内委員会はユネスコスクールをESDの拠点として位置づけ、その活動を支援しています。実際には、地域の特性に対応した様々な教育プログラムが各地で行われ、多くの学者や芸術家もESD活動の支援者として参加しています。

現在の展望

ESDに関する活動は今なお進展を遂げており、全国各地での実践を支えるためのESD活動支援センターも設立されています。これにより、ESDの重要性が再認識され、持続可能な開発に向けた地域主体のさらなる強化が期待されています。これらの取り組みは、持続可能な未来を築くための重要なステップとなることでしょう。

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