指を鳴らせ!/Snap Your Fingers

ARB『指を鳴らせ!/Snap Your Fingers』

『指を鳴らせ!』は、「スナップ・ユア・フィンガーズ」と読むタイトルを持つ、日本のロックバンド ARB が1981年11月21日に世に送り出した通算4枚目にあたるスタジオ録音アルバムです。

この作品は、1980年代初頭の日本のロックシーンにおいて独自の存在感を放っていたARBの、当時の音楽性を色濃く反映した一枚として知られています。バンドのメンバー自身が楽曲の編曲全てを担当しており、彼らの持つグルーヴやサウンドへのこだわりが直接的に表現されています。

作詞は、バンドのフロントマンである 石橋凌 が全曲を手がけています。彼の紡ぎ出す言葉は、当時の社会情勢や市井の人々の心情を描き出し、聴く者の心に強く響くメッセージ性を持っています。作曲面では、主にギタリストである 田中一郎 が中心的な役割を果たしていますが、一部の楽曲では石橋凌も作曲を担当しており、バンド内のクリエイティブな連携がうかがえます。

具体的には、アルバムに収録された全11曲のうち、4曲目の「HIP, SHAKE, HIP」、7曲目の「PALL MALLに火をつけて」、そして8曲目の「シティー・ギャング・シャッフル」の作曲は石橋凌によるものであり、それ以外の8曲は田中一郎の作曲によるものです。この分担からも、当時のARBにおけるソングライティングの中心的な役割がどのように担われていたかが見て取れます。

本アルバムには、以下の楽曲が収録されています。

1. イカレちまったぜ!! （作曲：田中一郎）
2. 13番街のワル （作曲：田中一郎）
3. I'm Jumping （作曲：田中一郎）
4. HIP, SHAKE, HIP （作曲：石橋凌）
5. 教会通りのロックン・ロール （作曲：田中一郎）
6. STANDING ON THE STREET （作曲：田中一郎）
7. PALL MALLに火をつけて （作曲：石橋凌）
8. シティー・ギャング・シャッフル （作曲：石橋凌）
9. Well, Well, Well （作曲：田中一郎）
10. さらば相棒 （作曲：田中一郎）
11. 8枚目のシングル （作曲：田中一郎）

収録曲のタイトルからは、「ロックン・ロール」「ストリート」「ギャング」といったキーワードが散見され、当時のARBが描こうとした世界観や、彼らのルーツであるロックンロール、そして都市生活や社会への視線が感じ取れます。これらの楽曲を通じて、ARBは彼らならではの骨太なロックサウンドと、現実を見据えたリアルなメッセージを表現しました。

1981年という年は、日本のロックシーンが多様な展開を見せ始めた時期であり、ARBもまたこの時期に彼らのスタイルを確立していきました。本作『指を鳴らせ!/Snap Your Fingers』は、そんな彼らのキャリアにおいて重要な位置を占める作品であり、当時のARBの音楽的な到達点を示す一枚と言えるでしょう。石橋凌の力強いボーカルと歌詞、田中一郎を中心としたバンド全体のタイトな演奏が一体となり、聴きごたえのあるアルバムとなっています。この作品は、単なるロックアルバムとしてだけでなく、当時の日本の空気感を伝えるドキュメントとしても価値を持つものと考えられます。

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