挫折 (松山千春のアルバム)

松山千春 オリジナル・アルバム『挫折』

松山千春が1992年に発表した通算23作目となるオリジナル・アルバムが『挫折』（ざせつ）です。この作品は、彼の長年にわたる音楽活動において、いくつかの重要な変化の時期と重なる、象徴的な一枚と言えるでしょう。1992年9月21日にリリースされた本作は、当時の音楽シーンにおける彼の存在感を改めて示すものとなりました。

レーベル移籍という新たなスタート

『挫折』が持つ最も大きな意味合いの一つは、これが松山千春がこれまで在籍していたALFAレコードを離れ、新たに日本コロムビアへと移籍して最初に発表したオリジナル・アルバムであるという点です。レコード会社の移籍は、アーティストにとって制作環境やプロモーション戦略など、活動の基盤が大きく変わる重要な出来事です。新たなレーベルでの第一歩となる『挫折』には、そうした変化を経て、どのような音楽を生み出していくのかという、アーティストの意思や方向性が込められていると推測されます。キャリアの節目に制作された本作は、その後の活動を見据える上でも注目すべき作品となりました。

外見の大きな変化

このアルバムがリリースされた1992年頃は、松山千春のパブリックイメージにおいて、視覚的な大きな変化が見られた時期でもあります。特に、長年にわたり彼のトレードマークとして多くのファンに親しまれてきた長髪が、短くカットされたスタイルへと変わったことは、当時のメディアやファンの間で話題となりました。外見の変化は、必ずしも音楽性や内面と直結するわけではありませんが、アーティストがキャリアの途中で敢行するこのようなイメージチェンジは、多くの場合、心境の変化や新たな挑戦への意欲と関連づけて語られることがあります。『挫折』というタイトルを持つこのアルバムが、こうした外見の変化と同時期に発表されたことは、リスナーに様々な憶測や感情を抱かせたことでしょう。新たなビジュアルで届けられた音楽は、多くの人々に新鮮な印象を与えました。

先行シングルと再リリース

アルバム『挫折』の発表に先立っては、シングル『INTENTIONAL』がリリースされており、この先行シングルを通じて、ファンは新作への期待感を高めていました。シングル曲がアルバムにどのように収録されているか、あるいはアルバムならではの新たな楽曲がどのような世界観を持っているかなど、アルバム全体の構成に対する興味を掻き立てる役割を果たしました。

また、本作はリリースからしばらく時を経た1998年には、「松山千春オリジナル・アルバム・コレクションVol.18」として再リリースされています。これにより、初回のリリース時に聴く機会がなかったリスナーや、改めて松山千春の過去の作品に触れたいと願うファンにとって、本作が再び手に入りやすい形で提供されることになりました。過去のカタログが再発売されることは、その作品が持つ音楽的な価値や歴史的な意義が再評価される機会となります。

まとめ

松山千春のオリジナル・アルバム『挫折』は、1992年9月21日に、彼がALFAレコードから日本コロムビアへ移籍して初めて放った作品として、そのキャリアにおいて重要な転換期に位置づけられます。また、長髪から短髪への外見の変化が見られた時期とも重なり、視覚と聴覚の両面で、新たな松山千春像を提示した作品と言えるでしょう。先行シングル『INTENTIONAL』を経て届けられた本作は、その後の活動の礎となるだけでなく、1998年の再リリースを通じて、時代を超えて多くの人々に聴かれ続けています。移籍、そして外見の変化という二重の「挫折」を乗り越え、新たな地平を目指すアーティストの息吹が感じられる、松山千春の豊かな表現世界を彩る一頁です。

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