振り向けばイエスタディ

振り向けばイエスタディ

「振り向けばイエスタディ」（ふりむけばイエスタディ）は、日本の女性シンガーソングライター、太田裕美によって発表された通算13作目のシングル曲です。この楽曲は1978年12月5日にリリースされ、当時の日本の音楽シーンにおいて、太田裕美の新たな一面を示す作品となりました。

楽曲制作陣

本作の作詞は、多くのヒット曲を手がけた稀代の作詞家、松本隆が担当しています。情景描写に長け、センチメンタルかつ詩的な世界観を描き出す松本隆の詞が、楽曲の情感を深くしています。作曲は、昭和から平成にかけて日本の音楽史に多大な功績を残した作曲家、筒美京平が手がけました。筒美京平によるメロディーは、聴く者の心に自然と響く普遍的な魅力を持っています。編曲については、A面である「振り向けばイエスタディ」はジミー・ハスケル（Jimmie Haskell）が、B面である「海が泣いている」は萩田光雄がそれぞれ担当しています。異なるアレンジャーが起用されたことで、シングルとして収録された二曲にそれぞれ独自のカラーが与えられています。

リー・リトナーの参加

このシングルで特に注目されるのは、楽曲「振り向けばイエスタディ」にアメリカの著名なギタリストであるリー・リトナーがリードギターとして参加している点です。

リー・リトナーは、1970年代から現在に至るまで、ジャズ、フュージョン、スムーズジャズといったジャンルを中心に活躍し、卓越したギターテクニックと洗練されたサウンドで国際的に高い評価を得ているミュージシャンです。グラミー賞受賞歴もあり、セッションミュージシャンとしても数多くのアーティストのレコーディングに参加しています。当時の日本の歌謡曲において、世界のトッププレイヤーをレコーディングに迎えるのは、全く前例がないわけではありませんでしたが、決して一般的なことではありませんでした。太田裕美というアーティスト、そして筒美京平が作曲した楽曲に、リー・リトナーのギターサウンドがどのように彩りを添えているのかは、本作の聴きどころの一つと言えるでしょう。彼の参加は、当時の日本の音楽業界が海外のミュージシャンやサウンドを取り入れ、表現の幅を広げようとしていた動きの一端を示すものとも考えられます。

収録曲

シングル盤には以下の2曲が収録されています。いずれも作詞は松本隆、作曲は筒美京平というゴールデンコンビによる作品です。

A面: 振り向けばイエスタディ
演奏時間: 3分34秒
編曲: Jimmie Haskell
タイトル曲であり、リー・リトナーのリードギターがフィーチャーされた楽曲です。

B面: 海が泣いている
演奏時間: 4分29秒
編曲: 萩田光雄
シングルB面に収録されたこの曲も、松本隆と筒美京平のコンビによる叙情的な作品であり、萩田光雄による情感豊かなアレンジが施されています。

収録アルバム

シングル「振り向けばイエスタディ」と「海が泣いている」は、同年にリリースされたオリジナルアルバム『海が泣いている』に収録されています。また、太田裕美の多くの楽曲を網羅したベストアルバム『GOLDEN☆BEST 太田裕美 コンプリート・シングル・コレクション』にも、「振り向けばイエスタディ」が収録されており、後追いで楽曲に触れるリスナーにとってもアクセスしやすい形で提供されています。

まとめ

1978年に発表された太田裕美のシングル「振り向けばイエスタディ」は、松本隆と筒美京平という日本のポピュラーミュージック界を代表するクリエイター陣に加え、世界的なギタリストであるリー・リトナーが参加したという、非常にユニークな背景を持つ楽曲です。その音楽的な試みは、当時の日本の歌謡曲シーンにおける多様性の一例としても位置づけられるでしょう。A面のタイトル曲はもちろんのこと、B面の「海が泣いている」も含め、当時の太田裕美の音楽性や表現力を知る上で重要な作品となっています。

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