振り返れば奴がいる

日本のドラマ『振り返れば奴がいる』

『振り返れば奴がいる』は、1993年1月13日から3月24日までフジテレビで放送された人気ドラマで、主演に織田裕二と石黒賢を迎え、脚本を三谷幸喜が手がけた作品です。このドラマは、医療現場を舞台にした人間ドラマであり、派閥争いや倫理観に焦点を当てた物語が展開されました。

あらすじ

この物語の中心は、天真楼病院という医療機関です。そこで新たに赴任してきた青年医師、石川玄（石黒賢）は、高い医療技術を持つも傲慢な態度の司馬江太郎（織田裕二）との間で激しい対立を繰り広げます。石川は、患者に最善を尽くすことを心掛ける熱血漢であり、司馬は冷酷な判断を下す天才外科医として登場します。

石川と司馬の摩擦は、医師としての信念の違いに起因しており、石川は何とか司馬を病院から追い出そうと奮闘します。しかし、司馬もまた巧妙な手段で石川の追及をかわし、物語は次第に緊迫した展開へと進んでいきます。やがて石川は、自分自身が病魔に侵されていることに気付き、その悩みがさらなる衝突を引き起こすことになります。

物語のクライマックスでは、司馬が担当する癌患者へ不適切な処置を施したことに端を発した事件が展開され、石川は内部告発の決断を下します。この決断により、司馬は病院から追放される事態に。この過程で、司馬と石川の間に一時的な絆が生まれるものの、結末は想像を超える凶事へとつながります。

登場人物とキャラクターの対立

物語を彩るキャラクターたちも魅力的です。石川玄は、倫理観あふれる一方で失敗も抱える医師として、多くの表現を引き出します。一方、司馬江太郎は、外科医としての強圧的な立場を貫き、自身の手腕で周囲を圧倒します。彼の人物描写は非常に巧妙で、観る者に強い印象を残します。

また、作品に登場する大槻沢子（千堂あきほ）や峰春美（松下由樹）も、それぞれの立場で石川と司馬に影響を与える重要なキャラクターです。

音楽と脚本の魅力

音楽面では、主題歌にCHAGE&ASKAの「YAH YAH YAH」が起用され、劇中に流れる旋律はドラマの雰囲気を一層引き立てました。また、三谷幸喜の手による脚本は、シニカルでありながら人間の内面的な葛藤を映し出すセリフの数々が特徴で、観る者を引き付けます。

最終回の衝撃的な展開

最終回では、石川が司馬の手術を受ける決断を迫られ、互いの立場が逆転するという緊迫した状況が展開されます。しかし、この手術が不成功に終わり、石川は命を落とします。司馬にとっても彼を失うことは大きなショックであり、対立が生んだ一瞬の絆は深い悲しみへと変わります。

更に、ドラマはクリフハンガーとして終わり、司馬の運命も不明のままとなり、視聴者に深い余韻を残しました。この作品は、その後も続編やスペシャル版が制作され、「振り返れば奴がいる」は日本のテレビドラマの歴史に名を刻むこととなりました。

『振り返れば奴がいる』は、スリリングな医療ドラマでありながら、登場人物の心の葛藤や対立を丁寧に描いており、視聴者に深く考えさせる作品として評価されています。

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