振幅変調

振幅変調（AM）

振幅変調（しんぷくへんちょう）、略称アム（AM）は、音声信号などの情報を搬送波の強弱で表現し、伝送する通信方式の一つです。この技術は、無線通信の分野で非常に広く用いられています。

概念

振幅変調は、主に音声などの情報を電波や光波の振幅を変化させることで送信します。この方式では、搬送波の周波数が信号波の周波数に対して非常に高い価値を持っており、例えば日本の中波放送では526.5kHzから1606.5kHzの範囲が使われています。変調波の振幅が音声信号と連動して変動し、最も高い電圧に達したときは最大の振幅を、最も低いときは最小の振幅を持っています。これにより、音声などの情報が効率的に伝えられます。

種類

振幅変調波はさまざまな形式に分類され、主に以下の三種類があります。

1. 全搬送波（With Carrier）: 搬送波の信号レベルをそのまま伝送します。復調には包絡線検波が一般的に使われ、両側波帯用の受信機で受信可能です。

2. 低減搬送波（Reduced Carrier）: 搬送波の信号レベルをある程度低くして伝送します。受信側で局部周波数の制御に有効です。

3. 抑圧搬送波（Suppressed Carrier）: 搬送波を全く伝送しない方法で、全搬送波よりも小さな送信電力で同一の伝送特性が得られます。受信側では搬送波を利用しないため、効率的です。

これらは、電波型式としても識別され、例えば全搬送波両側波帯は「A」、抑圧搬送波の場合は「J」となります。特に、単側波帯（SSB）と呼ばれる変調方式が注目され、高効率で信号を送信するために利用されています。

実用例

振幅変調は、中波及び短波によるラジオ放送の中心的な手法です。多くの国で広く使われ、アナログテレビ放送でも残留側波帯方式が採用されています。また、航空無線通信においても振幅変調が利用されており、高速で動く航空機が周波数変調に弱いという特性から、振幅変調による利点が生かされています。

アマチュア無線では、周波数使用効率を向上させるためにSSBが主に用いられており、通信の帯域が制限されている状況でも活用されています。これによりエネルギー効率を上げることが可能になります。

理論的背景

振幅変調による信号は、搬送波と信号波の合成式を使って表現できます。信号波の振幅と搬送波の振幅の比を変調度と呼び、この値が大きいほど信号の質が向上します。ただし、過度の変調度は波形の歪みを引き起こし、通信障害の原因となるため、適切な値が求められます。

このように振幅変調は、基本的な通信方式としての役割を果たしつつ、さらなる技術発展の基盤となる重要な方法です。

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