排障器

排障器の機能と役割

排障器（はいしょうき）は、鉄道車両において、走行中の障害物を排除するために設計された構造物です。JIS（日本工業規格）では、基本的に台車に取り付けられるものを指しますが、一般的には車両の車体に取り付けられる排障装置や「スカート」とも呼ばれるものを含むことが多いです。こうした装置は、特に小さな障害物、例えば石などをはね除ける役割を果たし、鉄道の安全性を高めるための重要な機能を担っています。

排障器の構造

排障器は通常、鋼板で構成されており、台車と接続されるためのステーも併せて機能します。一般的には、ボルトでしっかりと固定される設計となっており、車両の重量や車輪の直径に影響を受けないようにするため、高さを調整できるような構造が施されています。また、事業者によっては、補助的な役割を果たすゴム製の部材を取り付けることもあります。

排障器は、台車の端や軸箱の上部に取り付けられることが一般的で、取り付けの方法には一体化されたものと別部品としてのものがあります。後者の場合はボルトによる締結が行われ、さらにATCやATSなどの保安装置と共通の部品として使われることもあるため、保安上の変更の際には交換が行われることもあります。

排障装置とスカート

排障装置は、一般にスカートと呼ばれる部品で、台車の前方に設置されます。JISでは「台枠下部覆い」とも表記され、車両のデザインや機器の保護を目的としています。大きな障害物が車両に衝突した際に、その障害物を床下に巻き込まないように設計されています。また、近年では人身事故の防止に向けて、設計や構造が見直されていることもあります。

スカートは、1960年代の高速運転車両に始まり、最近では通勤電車や地下鉄といった一般的な車両にも多く採用されるようになってきています。そうした背景の中で、新製の際に排障装置を取り付けるケースが増え、既存の車両でも適宜強化型への改装が続いています。ただし、踏切が存在する低速路線の車両では取り付け工事が後回しにされることがあるため、踏切使用の有無によって対応が異なることも見受けられます。

材質とデザイン

排障器に使用される材料のほとんどは鋼鉄などの金属であり、特に新幹線など時速200キロを超える車両では障害物を巻き込むリスクが高くなるため、複数の層を重ねて取り付けることで安全性を高めています。塗装は主にグレーが多用され、床下機器と同系色にすることが一般的ですが、車両の全体デザインと一体感を持たせるために、車体色に合わせた仕上げがされることもあります。

排障器は鉄道における重要な安全装置であり、様々な設計や材料を用いて、より安全で快適な鉄道運行を実現するための進化を続けています。

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