探偵事務所23

『探偵事務所23』

『探偵事務所23』は、大藪春彦が1962年に発表した連作短編で、ハードボイルド・スパイ小説として高く評価されています。この作品は、1962年5月から10月にかけて「週刊新潮」に連載され、その後同年12月には新潮社から単行本として出版されました。現在では電子書籍としても入手可能です。また、1963年には本作を原作とする映画が2本制作されています。

概要

物語は、有楽町に位置する探偵事務所「23」の所長である田島英雄が主役です。彼はオリンピック競技団体に属しており、公安の許可を得て拳銃を所持する数少ない民間人の一人です。物語は、警視庁捜査一課の熊谷警部からの依頼を受けて、密輸業者の組織に潜入するという展開から始まります。田島は囮として利用され、拳銃が使用できることが求められます。この作品は全6話で構成されています。

各話の概要

第1話: 都会の墓場

密輸業者との接触を試みる田島の緊迫した潜入劇が描かれています。

第2話: 鼠退治

田島が新たな問題に直面し、兄弟のような存在との関係が深まります。

第3話: 死の商人

犯罪者との対峙にあたり、危険な選択を迫られる田島の姿が浮かび上がります。

第4話: 狙われた女

愛情や友情が絡む難解な状況に田島が巻き込まれ、心理的な葛藤が繰り広げられます。

第5話: 沈黙の掟

法と秩序の狭間での道徳的選択が描かれます。

第6話: 警戒標識

物語のクライマックスで、田島が真実を暴く過程が描かれます。

出版履歴

この作品は1962年5月14日から10月29日まで「週刊新潮」で25回にわたって連載され、その後いくつかの版で出版されることになります。1962年の初版を皮切りに、大藪春彦ホット・ノベル・シリーズや新潮文庫など、多くの出版社から再版されています。

映画化

『探偵事務所23』は映画化もされ、1963年には以下の2作品が公開されました。

第1作: くたばれ悪党ども

初の映画化であり、アクション・コメディとして展開されています。田島英雄役に宍戸錠が扮し、多彩なキャストが作品を盛り上げます。

第2作: 銭と女に弱い男

前作とは打って変わって、重い作風が特徴的です。こちらも宍戸錠が田島役を引き続き演じ、原作の重要なエピソードを基にした作品となっています。

まとめ

『探偵事務所23』は、更新された都市の風景や人間ドラマを交え、ハードボイルドの要素が色濃く反映された作品です。大藪春彦ならではの緊張感のあるストーリーテリングが、多くの読者を惹きつけてやみません。

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