推力式単排気管

推力式単排気管について

推力式単排気管は、航空機のエンジンに装備される排気管で、排気ガスを通じて推力を生み出す役割を果たします。この技術は、戦間期にGermanで開発され、実際に飛行機の速度向上が確認されています。他の技術、たとえば排気タービン過給や出力回収タービンに比べると、推力式単排気管はシンプルで手軽に導入できるのが特徴です。

日本においては、1942年以降、ドイツからの技術情報を基にこのシステムが普及しました。推力式単排気管は、エンジンシリンダーの排気口に対して、排気管の出口面積を60％に絞り、平たく潰した形状が良いとされ、特に高高度や高速機において大きな効果を発揮しました。このように設計することで、排気ガスによる気筒の背圧が低下し、排気及び吸入の効率が上昇し、その結果、エンジン出力自体が増加することが確認されました。

しかし、単排気管を長く伸ばしすぎると、気筒内の背圧が逆に上昇し、エンジン出力が損なわれるおそれがあります。そのため、単発機の場合は、乗員が排気を吸い込まないように設計され、プロペラの回転流によって左右差が生じることを考慮し、また夜間飛行時の排気炎による眩惑を避けるために、上部に取り付けられた単排気管は斜め下に向けられました。この設計により、単排気管の排気炎は夜間遠方から見ると目立たなくなります。

この特徴は、推力を増加させるための意図がなくても、特にB-25のような機体では単排気管を採用する理由となったことがあります。また集合排気管は、スロットル操作によって長い炎を吐くことがあり、被弾等により燃料が漏れた場合に引火の危険が高まるため、単排気管の方が相対的に安全だとされています。

さらに、一部の機体では、推力式単排気管の噴流を活用してカウルフラップを省略することができるような設計も見られました。とはいえ、単排気管はその特性上、非常に大きな音を発生させるため、耳に悪影響を及ぼすことがあります。しかし、集合排気管では気筒内で発生している異常爆発を聞き分けることができ、単排気管はそれに対して敏感でないと言われています。

実際にこの推力式単排気管を採用した機体には、ドイツのFw190や、日本の零式艦上戦闘機52型以降や五式戦闘機があります。さらに、イギリス軍の鹵獲機を参考にしたシーフューリーなどもこの技術を利用し、全体の飛行速度が15〜30km/h向上する結果が得られています。

このように、推力式単排気管は航空機の性能向上に大きく寄与しており、その発展の歴史や技術の重要性を知ることは、航空機設計における重要な教訓となります。

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