損益分岐点

損益分岐点について

損益分岐点（Break-even Point、BEP）は、企業にとって非常に重要な管理会計の手法です。この概念は、売上高が費用と等しい状態を指し、企業が利益を上げるために達成しなければならない最低限の売上高や販売数量を見積もるのに役立ちます。損益分岐点売上高は、固定費と変動費を考慮した上で計算され、企業の経営状態を把握するための強力なツールです。

損益分岐点の基本概念

損益分岐点が示すのは、売上高が損益分岐点売上高を超えた場合には利益が発生し、逆に下回っていると損失が生じるということです。このため、損益分岐点は「採算点」とも呼ばれることがあります。通常、この概念は二つの指標に分けられます。ひとつは損益分岐点売上高、もうひとつは損益分岐点販売数量です。管理会計では、主に売上高が焦点となりますが、経営工学では販売数量の方が重要視されることがよくあります。

損益分岐点売上高の計算式

損益分岐点売上高を求めるには、次の計算式を使用します。

$$
損益分岐点売上高 = \frac{固定費}{1 - \frac{変動費}{売上高}}
$$

ここで、固定費は売上に関係なく発生する費用、変動費は売上に応じて変動する費用を指します。損益分岐点売上高を理解するためには、まず利益の定義を把握することが必要です。利益は売上高から変動費や固定費を引いたものであり、次のように表されます。

$$
利益 = 売上高 - 変動費 - 固定費
$$

この利益がゼロになるポイントが損益分岐点となります。これにより、企業の経営分析を行う際にどれだけの売上が必要かを見極めることができます。

損益分岐点比率

損益分岐点売上高に関連するもう一つの指標が損益分岐点比率です。この比率は、実際の売上高に対する損益分岐点売上高の割合を示し、企業の収益性を評価するために利用されます。具体的には、以下のように計算されます。

$$
損益分岐点比率 = \frac{損益分岐点売上高}{売上高}
$$

この比率が小さければ小さいほど、企業は収益を上げやすく、また売上の減少に耐える力が強いことを示しています。一般的に、損益分岐点比率が80%程度以下が望ましいとされていますが、業種によっては90%を少し上回ることが多いのが実状です。

費用の種類

企業の費用は大きく分けて「固定費」と「変動費」に分類されます。

• - 固定費: 売上に関係なく発生し、たとえ売上がゼロでもかかるコストを指します。人件費や設備の減価償却費、リース料などが代表的です。
• - 変動費: 売上に比例して増える費用で、材料費や外注費などがこれに当たります。これらは売上の増減に応じて変動します。

損益分岐点の改善策

企業が損益分岐点を下げるためには、いくつかの方策があります。まず、限界利益率を上げること、すなわち変動費を削減することが有効です。具体的には、材料費や物流費のコスト削減が考えられます。また、固定費を抑えるために、正社員の数を減らしパートやアルバイトを活用することや、アウトソーシングなどの方法も有効です。さらに、稼働率の低い設備を廃止することで、長期的には損益分岐点を下げる効果があります。

まとめ

損益分岐点は、企業が利益を上げるための最低限の売上を見極めるのに不可欠な指標です。経営者や管理者はこの知識をもとに、効率的な経営戦略を描くことが求められます。

もう一度検索