摩擦プレス

摩擦プレスとは

摩擦プレス（フリクションプレスとも呼ばれる）は、機械式プレスに分類されるプレス機械の一種です。その最大の特徴は、摩擦力を利用してネジ機構を駆動し、スライドに上下運動を与える機構を持つことです。具体的には、モーターなどの動力による回転運動を、円盤の摩擦力を介してネジ機構に伝達します。この機構により、作業者は摩擦力の加減や切り離しを自在に行うことができ、機構的に下死点が存在しないため、加圧力を任意に調整することが可能です。この点は、作業者の熟練度が加圧精度に影響を与える要因ともなります。

JIS規格（JIS B 0111）では、摩擦プレスは「摩擦力とねじ機構によって1個のスライドを駆動するプレス」と定義されています。

摩擦プレスの特徴

摩擦プレスは、その機構的な特性から、以下のような特徴を持ちます。

加圧力の調整が可能: 作業者が摩擦力の加減を調整できるため、プレス加工時の加圧力を細かく調整できます。このため、さまざまな材料や加工条件に対応しやすいという利点があります。
機構的下死点がない: スクリュープレスの一種であるため、機構的な下死点が存在しません。これにより、ストロークの自由度が高く、製品の形状に合わせた柔軟な加工が可能です。
作業者の熟練度が影響: 加圧力の調整が作業者の手動操作に依存する部分が大きいため、作業者の熟練度が加工精度に大きく影響します。

摩擦プレスの主な種類

摩擦プレスには、駆動機構の違いによっていくつかの種類が存在します。以下に主なものを紹介します。

円板駆動形摩擦プレス

円板状の摩擦車を用いる形式で、摩擦力とネジ機構によってスライドを駆動する最も一般的なタイプです。構造が比較的単純で、メンテナンスも容易なため、広く普及しています。

ビンセント形摩擦プレス

円すい形状の摩擦車を利用して駆動する形式です。下型が上下に運動する点が特徴で、他の形式に比べて、より大きな力を加えることが可能です。

ロール駆動形摩擦プレス

摩擦力とネジ機構によるスライドの駆動にロールを用いる形式です。ロールの回転運動をスライドの上下運動に変換します。安定した駆動が可能で、効率的な加圧が可能です。

ハーゼンクレーバ形摩擦プレス

2個の摩擦車を利用してスライドを駆動する形式です。これにより、スライドの上下運動を個別に制御できるため、より複雑な動きを実現できます。

まとめ

摩擦プレスは、摩擦力を利用した独特の機構により、加圧力の調整が可能なプレス機械です。その種類も多様で、それぞれに特徴があります。作業者の熟練度が加工精度に影響する点には注意が必要ですが、柔軟な加工が可能なため、幅広い分野で利用されています。

関連項目

プレス機械

外部リンク

* 摩擦プレス - プレス機械

もう一度検索