撃てない警官

『撃てない警官』

概要

『撃てない警官』は、安東能明による警察を題材にした推理小説です。この作品は、主人公である柴崎令司を中心に展開する一話完結型の連作短編集であり、全7編から成り立っています。本作は、撃てない警官シリーズの第1作目であり、2010年には「随監」が日本推理作家協会賞の短編部門で受賞しました。また、2016年には同名のテレビドラマがWOWOWで放送され、多くの視聴者に支持を受けました。

あらすじ

柴崎令司は、若くして警視庁に勤めるエリート警官であり、総務部において企画係の係長としての地位にあります。さらなる出世を目指して努力を重ねている彼ですが、ある日、上司の中田警視から部下である木戸和彦巡査部長を射撃訓練に参加させるよう指示を受けます。木戸は鬱病を抱える苦しい状況にあり、射撃訓練の直後にトイレで自ら命を絶ってしまいます。

この突然の悲劇に対し、柴崎は責任を問われ、ついには左遷されてしまいます。上司の指示のもとで行動していたにもかかわらず、彼は不幸にもその責任を一身に背負うこととなったのです。左遷後、綾瀬署へ異動した柴崎は、自らの名誉を回復するために独自に調査を開始します。この過程で、彼は石岡という同僚と出会い、情報を共有しながら事件の真実に迫っていきます。

一方で、綾瀬署での新しい任務が始まる柴崎には、多くのトラブルが待ち受けています。助川副署長と共に、彼は署内外の様々な事件解決に奔走することになります。時には問題をもみ消し、また時には事実を告発する。柴崎の警察官としての誇りと人間としての葛藤が描かれ、警察管理職が直面する現実の厳しさがヒシヒシと伝わってきます。

主要人物

• - 柴崎令司（主人公）: 警視庁の企画係のエリートですが、木戸の自殺責任を問われて左遷。
• - 中田警視: 柴崎の上司で、彼の出世を阻む存在。
• - 助川副署長: 左遷後の柴崎の上司で、さまざまなトラブル解決に協力。

書籍情報

• - 単行本: 新潮社による初版は2010年10月22日発行、ISBN 9784101301525
• - 文庫本: 新潮文庫版は2013年6月1日発行、ISBN 9784101301525

テレビドラマ

この小説を基にしたテレビドラマ『撃てない警官』は、2016年1月からWOWOWで放送されました。主演は田辺誠一が務め、石黒賢や中越典子などの豪華キャストが共演しました。監督は長崎俊一で、音楽は大友良英が手掛け、視覚と聴覚の両面から視聴者を魅了しました。

結論

『撃てない警官』は、警察の内情や人間関係、倫理的な葛藤を深く掘り下げた作品です。安東能明の緻密な描写が光るこのストーリーは、警官という職業の光と影を理解する手助けをしてくれるでしょう。

もう一度検索