播州そろばん

播州そろばん

播州そろばん（ばんしゅうそろばん）は、兵庫県小野市を中心とした地域で製造されているそろばんであり、兵庫県の伝統工芸品として知られています。1976年には通商産業省（現・経済産業省）によって伝統的工芸品に指定され、2007年8月には特許庁の地域団体商標にも登録されています。

概要

播州そろばんは、主に兵庫県の小野市、加西市、三木市、加古川市、加東市などで生産されています。「播州」とは、かつての播磨国のことを指します。

使用される木材は、樺、柘植、黒檀などです。

播州そろばんの起源は、天正年間に豊臣秀吉が三木城を攻略した際に、大津地方へ逃れた住民たちが「大津そろばん」の製造法を習得し、その後小野周辺に帰郷してそろばんの製造を始めたことにあると伝えられています。

小野の地は、温暖な気候と豊かな耕地に恵まれており、古くから農閑期の手仕事としてそろばんづくりが盛んに行われてきました。

播州そろばんの特徴は、商店や学校などで広く使われるそろばんを量産化してきたことです。これは、主に銀行用のそろばんを工場で生産していた雲州そろばん（島根県奥出雲）とは対照的です。播州では、農閑期に農家の人々が職人となり、分業体制で部品づくりを行うという独特の生産体制が確立されました。

そろばんづくりの工程は多いもので200以上にも及ぶと言われています。大きく分けると、「玉作り」「玉仕上げ」「ひご竹作り」「組み立て」の4つの工程に分けられます。播州では、それぞれの工程に専門化した職人がおり、効率的な作業が行われています。特に、そろばんの命とも言われる玉は、堅牢なカバやツゲの木を素材とし、播州そろばん独特のやや丸みを帯びたひし形に加工されます。さらに、玉の色の微妙な違いも見分け、内側は濃い色、外側は薄い色に揃えるという、熟練の技が光ります。

このような職人たちの技術によって、播州そろばんは伝統的工芸品としての高い価値を保っています。

現在、国内のそろばん市場において、播州そろばんは70%の市場占有率を誇っています。

戦後のそろばん塾ブームによりそろばん需要が高まり、1960年代には年間350万丁もの播州そろばんが生産されていました。しかし、近年は生産量が減少し、年間15万丁程度となっています。

海外では、そろばん教育を取り組んでいる国の貧しい子供たちのために、高品質な播州そろばんを寄付する活動も行われています。2010年には、約1,200丁の播州そろばんが寄付として集められ、その大半が個人からのものでした。これらのそろばんはトンガに送られ、その後チュニジアにも送られる予定です。

展示施設

播州そろばんは、小野市伝統産業会館で見学することができます。

関連項目

地域団体商標
地域団体商標の一覧

外部リンク

* 播州そろばん - 日本の伝統的工芸品館内の紹介ページ

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