改良型加圧水型軽水炉

改良型加圧水型原子炉（APWR）の詳細

改良型加圧水型原子炉（APWR）は、三菱重工が開発した新しいタイプの原子炉で、従来の加圧水型原子炉（PWR）技術を基にしています。この原子炉は第3世代に分類され、安全性や効率の向上を目的としたさまざまな改良が施されています。特に注目されるのは、パッシブとアクティブの両方の安全装置を組み合わせた点で、これにより事故時の安全性が大幅に向上しています。

日本では、標準型APWRが認可作業中であり、その第1例として日本原電の敦賀発電所3・4号機が建設準備を進めています。このプラントは、1,538MWeという出力を持つ予定で、将来的には出力1,700MWeに対応したAPWR+が計画されています。また、APWR+はプルサーマルにも対応しているため、核燃料の効率的な利用が期待されています。

US-APWRの特長

アメリカ向けに改良されたバージョン、US-APWRは、日本のAPWRを基にアメリカの規制に適合するように改良されています。テキサス州にはTXU社が中心となって、コマンチェピーク原子力発電所など複数の発電所での建設が予定されています。US-APWRでは、コスト削減が図られており、その中心的な改良の一つとして、反応性が向上した鋼製の径方向中性子反射体が採用されています。この装置によって、濃縮ウランの使用量を最大0.1wt%削減することが可能です。

さらに、US-APWRでは、日本向けのAPWRよりも高効率の蒸気発生器が用いられています。この結果、乾燥した蒸気を生成し、高効率でタービンを稼働させることができるため、全体の効率が最大で10%向上する見込みです。

様々な安全装備

US-APWRでは、さまざまな安全性向上のための改良も行われています。具体的には、水循環系を4セット用意し、必要能力の50%を持つことで、冗長性を確保しています。これにより、万が一の非常時にも、より高い信頼性で冷却が行可能です。さらに、アキュムレータの大型化も行われ、システム全体の信頼性向上に寄与しています。

特に注目すべきは、従来のアクティブシステムであるSafety Injection systemが廃止されたことです。これに代わって、改良されたパッシブシステムが採用されています。これらの改良により、APWRはより安全で効率的な運転が可能となります。

まとめ

改良型加圧水型原子炉は、三菱重工が開発した最新技術を結集した原子炉です。日本国内外での建設が進められる中、今後の展開が注目されています。これにより、持続可能なエネルギーの提供と、将来的な原子力エネルギーの効率化が期待されます。

もう一度検索