改良型沸騰水型軽水炉

改良型沸騰水型軽水炉（ABWR）の解説

改良型沸騰水型軽水炉（Advanced Boiling Water Reactor、ABWR）は、従来の沸騰水型原子炉（BWR）を改良した原子炉です。従来のBWRと比較して、いくつかの重要な改善が加えられています。

ABWRの技術的改良点

ABWRの最も顕著な改良点は、原子炉再循環ポンプの配置にあります。従来のBWRでは原子炉圧力容器の外側に設置されていた再循環ポンプを、ABWRでは圧力容器内に設置しました。これにより、配管の簡素化と信頼性の向上が実現しています。さらに、制御棒駆動系にも改良が加えられ、水圧駆動に加えて電動駆動を採用することで、より多様な運転制御が可能になっています。これらの改良により、ABWRは高い安全性と効率性を兼ね備えた原子炉として設計されています。現在、ABWRは日立GEニュークリア・エナジーと東芝によって提供されています。

日本国内のABWR設置状況

2009年9月末時点では、東京電力柏崎刈羽原子力発電所6・7号機、中部電力浜岡原子力発電所5号機、北陸電力志賀原子力発電所2号機の計4基が運転されていました。その後、浜岡原子力発電所6号機、島根原子力発電所3号機、大間原子力発電所1号機、東通原子力発電所1号機などが建設または計画されていましたが、福島第一原子力発電所事故や、様々な社会情勢の影響を受け、計画変更や中止となったものも少なくありません。東通原子力発電所2号機や上関原子力発電所1・2号機などは、計画段階にとどまっています。福島第一原子力発電所7・8号機についても、増設計画でABWRの採用が検討されていましたが、2011年の福島第一原子力発電所事故を受け、計画は中止されました。

海外への輸出と台湾における事例

ABWRは海外への輸出も試みられており、台湾の龍門原子力発電所1・2号機に採用されました。しかし、台湾では原発建設に対する世論が二分されており、反対運動が激しく展開されました。そのため、運転開始予定は何度も延期され、最終的には2014年、馬英九総統によって1号機の稼働凍結と2号機の工事停止が表明されました。その後、正式に建設が凍結されることになりました。この台湾での事例は、ABWRの輸出における課題を示すものとなりました。

ABWRの安全性と将来性

ABWRは、従来のBWRに比べて安全性の向上を図っていますが、原子力発電所の安全性に関する議論は依然として続いています。近年、地球温暖化対策の観点から、原子力発電の重要性が見直される動きも見られますが、その一方で、安全性への懸念や、廃棄物処理問題、そして、テロ対策など様々な課題も存在します。ABWRの技術的な優位性と、原子力発電の将来性については、今後も様々な議論が行われていくことでしょう。

関連情報

ABWRに関するより詳細な情報については、経済産業省、原子力規制委員会、電力会社などのウェブサイトを参照することをお勧めします。また、専門書や学術論文も有用な情報源となります。

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