攻めCOMダンジョン ドルルルアーガ

攻めCOMダンジョン ドルルルアーガ

『攻めCOMダンジョン ドルルルアーガ』は、2000年12月15日にナムコ（現在のバンダイナムコエンターテインメント）からゲームボーイ向けに発売された、ユニークなゲームソフトです。「バビロニアン・キャッスル・サーガ」の一編として、『ドルアーガの塔』からちょうど百年後の世界を舞台にした外伝作品にあたります。本作は、オーソドックスなターン制ロールプレイングゲームの要素に、戦略性の高いカードバトルシステムを組み合わせた、独自のゲーム性が特徴です。

ゲームシステム

ゲームの基本システムは、プレイヤーと敵ボスの双方が、それぞれが持つダンジョンから相手のダンジョンへと攻め込むターン制バトルです。このバトルの目的は、敵のダンジョン内に隠された三つの「鍵」を全て手に入れ、その鍵で開くダンジョン中枢の「ジュエル」を、相手に先駆けて奪取することにあります。反対に、自陣のジュエルを敵に奪われるか、バトル開始時に設定された制限ターン数（通常は1000ターン）が経過した場合、プレイヤーの敗北となります。

本作最大の特徴は、武器や回復アイテム、さらには戦闘に参加する仲間であるクリーチャー（人間や様々なモンスター）が、すべて「カード」として扱われる点です。各戦闘の開始前に、プレイヤーは手持ちのカードの中から最適なものを選んで「デッキ」を構築します。このデッキ構築の段階から既に戦略が始まり、どのようなカードを組み合わせるかが勝敗を大きく左右します。

戦闘の舞台となるダンジョンは、複数の部屋によって区切られており、時には部屋同士がワープゲートで繋がっています。プレイヤーと敵は、自分のターンが来た際に、現在いる部屋の8方向に移動したり、攻撃を行ったりします。ターンが経過するごとに、カードを使用するためのMPが蓄積されていきます。クリーチャーの行動範囲は、基本的にプレイヤーまたはボスがいる部屋内に限定されます。カードは、MPを消費して「使う」か「投げる」かの二つの方法で利用できます。「使う」場合、自分自身や近くに効果を発揮したり、自分の周囲にクリーチャーを召喚したりします。「投げる」場合は、投げた対象に効果を与えたり、投げた先にクリーチャーを召喚したりできます。

ボスキャラクターが戦闘不能になった場合、そのボスのデッキからランダムにカードが1枚失われますが、一定ターンが経過すると、自陣のジュエルルームで復活します。戦闘開始時、プレイヤーは自陣の部屋に、手持ちのクリーチャーカードからMPを消費せず最大2体まで初期配置できますが、敵陣には最初から多くのモンスターが配置されており、油断はできません。

デッキとカード

デッキ構築は、勝利への第一歩です。まず使用する「ジュエル」を選択し、そのジュエルに定められた合計MPの上限を超えない範囲で、最大54枚のカードを選んでデッキを組みます。ただし、同じ種類のカードはデッキに4枚までという制限があります。デッキ構築で余ったMPは、戦闘開始時の初期MPにボーナスとして加算されます。

カードは、その効果に応じて大きく六種類に分類されます。

クリーチャーカード：仲間の召喚。
武器カード：攻撃力を高める。
防具カード：防御力を高める。
アクセサリカード：特殊な効果を付与。
使用カード：回復や補助など、使い捨ての効果。
ジュエルカード：デッキの総MP上限などを決定。

ステージ攻略中に一時的に入手したカードは、そのステージをクリアするか中断すると失われます。しかし、ステージクリア時には、そのステージで入手可能なカードの中からランダムで4枚が手に入ります。さらに、「パーフェクト」（敵に鍵を一つも奪われずにクリア）、「サバイバル」（一度もプレイヤーのHPが0にならずにクリア）、「ブレイブ」（敵のジュエルランクより低い状態でクリア）という三つのボーナス条件をそれぞれ満たすことで、追加で各1枚ずつ、合計で最大7枚ものカードを獲得できます。バトルに敗れた場合でも、残念賞として1枚カードが手に入ります。また、物語の進行に伴って、新たなカードが手に入ることもあります。

通信機能

ゲームボーイ本体と通信ケーブルを使用することで、他のプレイヤーと様々な交流が可能です。通信対戦では、互いに構築したデッキを持ち寄ってバトルができます。この際、カードを賭けるかどうかの選択肢があり、賭ける場合は互いのデッキからランダムに1枚ずつカードを賭け、敗者がそのカードを勝者に引き渡すことになります。通信対戦中のゲーム進行は、ストーリーモードとは異なり、通常のターン制ではなく、ややリアルタイムに近い形式で進行しますが、部屋の移動など一部の行動では相手のターン終了を待つ必要があります。通信対戦で累計50勝を達成すると、強力な武器カード「エクスカリバー」が入手できる特典があります。

カード交換機能では、特定のカード（「カリア」カードとジュエルカードを除く）を、他のプレイヤーのセーブデータとやり取りできます。一度に送受信できるカードは、種類を問わず最大54枚までです。通信対戦やカード交換を通じてのみ入手可能な、特定のカードや、特定の枚数を一度に送受信することで変化するカードも存在するため、全てのカードをコンプリートするには通信機能が必須となります。また、通信対戦での一定勝利数を満たさなければ閲覧できないCGギャラリーも用意されています。

登場キャラクター

本作には、『ドルアーガの塔』の世界観を受け継ぎつつ、多くの個性的なキャラクターが登場します。主人公は、勇者ギルの玄孫にあたるバビリム王国の王子「ギルス」です。彼は剣術とスペルカードによる魔法を使いこなす神殿騎士として冒険します。彼に協力する仲間としては、イシター神殿の巫女「カリア」（物語途中で重要な役割を終えます）、ギルスの親友で二回攻撃が得意な剣士「ホルス」、ホルスの妹でカウンター技を持つ槍使い「セティ」（帝国に操られている時期も）、そしてナムコの別作品『ドラゴンバスター』からのゲストである青年「クローヴィス」がいます。クローヴィスは行方不明のセリア姫と竜殺剣ドラゴンバスターを探しており、黄泉の国でギルスと再会し仲間となります。

敵対するのは、闇の司祭アンシャーに操られバビリム王国を攻め滅ぼしたスーマール帝国の皇帝「バルスツーカ」を筆頭とする帝国軍の面々です。また、森と生命、予言と言葉、嵐、正義と炎、月と氷、そして愛と戦いの女神イシターや神々の王アヌといった様々な神々、そして彼らの従者たちも物語に深く関わってきます。黄泉の国の神ナーガルや、かつてギルガメスに倒された魔王ドルアーガ、そしてクリスタルの力で強化された最終形態「ドルルルアーガ」といった強大な悪魔もギルスたちの前に立ちはだかります。過去の英雄ギルガメスも神々の一員として登場します。他にも、砂漠の国の女王イシス、『ワルキューレの冒険』からのゲストであるワルキューレ、邪剣ソウルエッジと融合して闇の騎士となるエンカイド/ナイトメアなど、シリーズやナムコの他作品からのゲストキャラクターも多数登場し、世界観を広げています。

ワールド

物語の舞台は多岐にわたり、緑豊かな「リビルの森」、熱砂に覆われた「熱砂の王国イシス」、かつての栄華を失った「バビリム王国」、敵の本拠地である「スーマール王国」、険しい山々が連なる「クムガル山脈」、神秘的な「天上界」、死者が眠る「黄泉の国」、そしてシリーズの象徴である「ドルアーガの塔」などがプレイヤーを待ち受けます。加えて、ストーリーとは直接関係ありませんが、前のワールドへのショートカットとして利用できる「ナムコランド」ワールドも存在し、ここにはパックマンや『源平討魔伝』のカゲキヨ、『ガンバレット』シリーズのオヤジといった、ナムコの歴代ゲームキャラクターたちがゲスト出演しています。

その他の要素

ゲームクリア後のセーブデータを用いて、特定の場所を訪れると、難易度が大幅に上昇する「裏モード」に挑戦できます。裏モードでは、全てのステージの敵が復活し、ジュエルの使用に制限がかかる他、プレイヤーのHPが0になると即ゲームオーバーになるなど、より厳しい条件でのプレイが楽しめます。前述の通信機能に関連して、特定の「ゴールドマトック」カードは通常プレイでは入手不可能であり、カードリストをコンプリートするには通信機能が必須となるなど、やり込み要素も充実しています。

『攻めCOMダンジョン ドルルルアーガ』は、『ドルアーガの塔』シリーズの世界観を受け継ぎながら、独自のゲームシステムによって新たな魅力を引き出した作品です。ターン制RPGとカードゲームの融合は、戦略性の高い奥深いバトルを生み出し、多様なキャラクターとワールドが織りなす物語と共に、プレイヤーを「バビロニアン・キャッスル・サーガ」の新たな冒険へと誘います。

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