攻勢作戦

攻勢作戦（こうせいさくせん）

攻勢作戦とは、自ら能動的に行動を起こし、敵の戦力を積極的に求め出して攻撃を仕掛け、これを撃破、あるいはその機能を無力化することを目指す軍事行動です。

概要

攻勢作戦は、自らが主体となって敵のいる領域へ侵攻し、攻撃を通じて敵の部隊を壊滅させたり、戦闘能力を奪ったりすることを目的とします。これは、防衛に徹する防勢作戦とは根本的に異なる概念です。戦略上あるいは作戦上の目標を達成する上で、攻勢はより効率的な手段となり得ます。なぜなら、敵の戦闘力を排除することそのものが、自軍の安全を確保し、その後の作戦遂行を容易にするからです。

攻勢作戦は、特に陸上での戦闘においてその重要性が際立ちます。戦いの流れを決定的に左右し、敵味方の力関係を大きく変動させる可能性を秘めています。攻勢を成功させることは、戦略的な主導権を握る上で不可欠であり、ゆえに軍事的な勝利を得るためには避けられない手段と考えられています。しばしば、一時的な防御や現状維持は、最終的に攻勢へと転じるための準備段階であるとさえ位置づけられます。

特性

攻勢作戦を成功に導くためには、いくつかの重要な特性が求められます。

意外性

攻勢作戦における「意外性」とは、攻撃のタイミング、場所、規模、あるいは手段といった要素に、敵が予期しない要素を盛り込むことです。防御側は、常に攻撃の可能性を予測し、それに対する備えを行います。したがって、攻勢側は、その予測を巧みに裏切る計画を立てる必要があります。作戦立案の段階から、敵の意表を突くような奇襲の要素を組み込むことが求められます。この意外性が伴うことで、最初の攻撃、いわゆる第一撃によって敵に与える物理的・心理的なダメージを最大化することができます。これにより、敵の戦闘意欲や組織的な対応能力を効果的に低下させ、その後の戦闘を通じて主導的な立場を維持することが可能となります。

集中

「集中」も攻勢作戦における重要な特性です。これは、攻撃部隊の配置や攻撃の方向を、敵の特定の地点や部隊に対して集中的に向けることを指します。攻撃部隊を主要な攻撃軸（主攻）と支援的な攻撃軸（支攻）に分けて配置し、敵を包囲するように攻撃することで、同時に複数の側面から敵に脅威を与えることができます。敵防御部隊の一部を突破できた場合、その突破口から隣接する敵部隊の側面や後方へと迅速に攻撃を展開することが可能となります。このように攻撃を集中させることで、一つの戦線で得られた成果を他の戦線へと波及させ、作戦全体の成功に寄与させることができるのです。

速度

ここでいう「速度」とは、軍事行動全体の平均的な速さ、特に部隊の機動や攻撃の展開の速さを意味します。攻勢作戦において、速度は戦闘の主導権を握り続け、戦いの流れを自らの意図通りに統制するための中心的な要素となります。部隊間の連携を円滑にし、敵と接触してから攻撃を開始するまでの時間を最小限に抑えることは非常に重要です。高い速度を維持することで、敵に第一撃による損害から回復したり、態勢を立て直したりする時間や手段的な猶予を一切与えず、攻め続けることができます。このような速攻性と継続性を持った攻勢作戦は、成功する可能性がより高まります。

これらの特性を効果的に組み合わせることで、攻勢作戦は敵を圧倒し、戦局を有利に進めるための強力な手段となります。

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