政府登録国際観光旅館

政府登録国際観光旅館とは、1949年（昭和24年）に制定された国際観光ホテル整備法に基づき、観光庁長官が登録を行った旅館およびホテルを指します。この制度は、国際的な観光客の受け入れ体制を整備することを目的としており、一定の基準を満たした施設が登録されてきました。

登録要件

登録されるためには、洋室と和室でそれぞれ異なる要件が定められています。

洋室の場合

机、椅子、クローゼットまたはそれに代わる収納設備を備え、椅子式の生活とベッドでの睡眠に適した環境であること。
浴室は、自由にシャワーの温度を調整できること。
トイレは水洗式で、洋式便器であること。
シリンダー錠（または同等の施錠設備）と電話機が設置されていること。
ロビーは一定の広さ以上を確保していること。
食堂では洋食の朝食を提供でき、椅子と机があること。
外国語（主に英語）での表記が準備されていること。
外国語（主に英語）を話せるスタッフが常駐していること。

和室の場合

基本的には洋室と同様の設備に加え、床の間、踏込、クローゼットを備えていること。
適切な冷暖房設備が整っていること。

これらの要件を満たすことで、国際観光客が快適に過ごせる環境を提供することが求められました。

登録施設の管理

登録された施設は、ホテルについては「登録ホ第XXXX号」、旅館については「登録旅第XXXX号」として観光庁によって管理されています。最初に登録されたホテルは帝国ホテル（登録ホ第0001号）、旅館は加茂免旅館（登録旅第0001号）でした。しかし、加茂免旅館は後に旅館業を廃止し、料亭へと業態変更したため、2018年に登録が抹消されました。現在、最も登録番号の若い旅館は常磐ホテル（登録旅第0006号）です。

制度の現状と課題

2000年頃から2008年代前半には、ホテル・旅館合わせて3,000施設が政府登録されていましたが、その後、旅館を中心に登録施設数は減少しました。2023年1月11日時点では、2,336施設（ホテル949施設、旅館1,387施設）となっています。これは、総務省が実施した調査で、登録施設の約4割が課された義務を遵守せず、約7割が宿泊客増加のメリットを感じていないという結果が出たことが要因の一つです。この結果を受け、総務省は2014年に観光庁に対し、制度の抜本的な改善を勧告しました。

制度の今後

政府登録国際観光旅館制度は、かつては国際観光の推進に重要な役割を果たしていましたが、近年は制度の形骸化が指摘されています。登録施設数の減少や義務の不履行が明らかになっている現状を踏まえ、今後は制度の見直しや改善が求められています。観光庁は、これらの課題に対し、より実効性のある対策を講じる必要があり、観光立国としての日本の魅力を高めるための努力が求められています。

関連情報

国策ホテル: 戦前に同様の政策で建設されたホテルの総称。
ビジット・ジャパン・キャンペーン: 日本への観光客誘致を目的としたキャンペーン。
登録ホテル・旅館（国土交通省観光庁）: 登録された施設の情報。
日本旅館協会: 国際観光旅館連盟と日本観光旅館連盟を統合した団体。

これらの情報を参考に、政府登録国際観光旅館の現状と課題についてより深く理解することができます。

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