政府調達に関する協定

政府調達に関する協定（GPA）とは

政府調達に関する協定（Agreement on Government Procurement, GPA）は、1994年4月15日に作成され、1996年1月1日に発効した国際条約です。この協定は、政府調達における国際的な競争を促進し、市場の開放を目指すことを目的としています。

協定の概要

GPAは、世界貿易機関（WTO）を設立するマラケシュ協定の附属書4に含まれる複数国間貿易協定の一つです。この協定は、すべてのWTO加盟国に適用されるのではなく、個別に締結した国のみを拘束します。

協定の主な内容は、一定基準額以上の政府調達において、外国企業が参入しやすいように、所定の手続きを定めることです。これにより、透明性の高い調達プロセスを確保し、国際的な競争を促進します。

協定の発展

初期の政府調達に関する協定は、1979年に作成され、1987年に改正されました。この協定は、内国民待遇や無差別待遇を定めていましたが、適用範囲は限定的でした。その後、GPAは、サービス分野や地方政府機関に適用範囲を拡大し、苦情申立てや紛争解決に関する手続きを整備しました。

2012年3月30日には、GPAを改正する議定書が採択されました。この改正は、以下の点を主な柱としています。

開発途上国の加入促進（「特別な配慮」の強化）
市場アクセスの拡大（対象調達機関の拡大など）
電子的手段の活用による調達手続きの簡素化
協定適用範囲の修正通報及び異議申立てに関する手続きの明確化

この改正により、約800億ドルの新たな政府調達市場が開放され、経済の効率化と質の向上が期待されています。

技術仕様

技術仕様に関しては、「適当な場合には、デザイン又は記述的に示された特性よりも性能に着目して、また、国際規格が存在するときは当該国際規格、国際規格が存在しないときは国内強制規、認められた国内任意規格又は建築規準に基づいて定める」と定められています。これは、国際規格を重視する点で、貿易の技術的障害に関する協定（TBT協定）と同様の考え方です。

政府調達の規模

WTOによると、一般的に、一国の政府および地方自治体などの公的機関が調達する物品やサービスの価額は、その国の国内総生産（GDP）の10〜15％に相当するとされています。これは、政府調達市場が経済に与える影響が大きいことを示しています。

加盟国と改正議定書

GPAの加盟国と改正議定書の受諾国については、WTOのウェブサイトに詳細な情報が掲載されています。

特記事項

スイスは、2020年12月31日まで改正議定書を受諾していませんでしたが、2021年1月1日に受諾が発効しました。
オランダは、本国は欧州連合が加盟国として適用されますが、アルバについては独自に加盟国となっています。
イギリスは、欧州連合離脱後、2021年1月1日に独自の加盟国となりました。
欧州連合については、各加盟国の拡大に伴い、GPAの発効日が異なります。

まとめ

政府調達に関する協定（GPA）は、国際的な政府調達市場の開放と、公正な競争環境の整備を目指す重要な国際条約です。改正を重ねることで、より多くの国が参加し、透明性の高い調達プロセスが実現されることが期待されています。

関連情報

調達機関
環太平洋パートナーシップ協定（TPP）

外部リンク

Government procurement gateway - WTO
WTO政府調達協定 - 外務省

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