教信寺 (加古川市)

教信寺（きょうしんじ）

教信寺は、兵庫県加古川市に位置する歴史的な寺院であり、沙弥教信の遺跡として知られています。寺の山号は念仏山であり、播州薬師霊場の8番札所としても重要な役割を果たしています。広大な伽藍境内地は、加古川市によって指定されており、地域の名所「わがまち加古川70選」にも選ばれています。

縁起

教信寺は、称名念仏の創始者教信によって開基されたもので、教信は興福寺に所属していましたが、奈良の貴族仏教には満足できず、各地を放浪しました。最終的に現在の加古川市野口町にあたる賀古駅家の北辺に庵を建て、ここを終の住処としました。彼は阿弥陀仏の称名に専念する傍ら、西国街道を行く旅人の荷物を運ぶ手助けや農作業、そして駅ヶ池の造成といった活動にも従事しました。

教信が亡くなった後は、彼の遺言に従って遺体は野に置かれました。興味深いことに、教信の体は鳥獣に食われてしまっていましたが、首から上は無傷の状態だったと伝えられています。この伝説を記憶に留めるため、教信の頭像が作成され、開山堂の本尊として祀られています。

室町時代には、寺院は堂宇13、僧坊48を数える大伽藍へと成長しましたが、戦国時代の激動の中、毛利勢と羽柴秀吉勢の戦いの場ともなりました。1578年の春、戦火により寺は全焼し、1642年には現在の形に復興し、1880年には書写山円教寺から念仏道場を移築して本堂が再建されました。さらに、明治初期の廃仏毀釈運動や政治の変化により一時衰退したものの、教信寺は天台宗に改宗し復興を果たします。

教信の生活や信仰は平安時代の『往生十因』や鎌倉時代の念仏僧親鸞や一遍に多大な影響を与えたとされます。また、『改邪鈔』には親鸞が「われは賀古の教信沙弥の定なり」と記した言葉が残され、真宗信者にとって教信は今なお重要な存在です。

境内

教信寺境内には、多くの寺院が点在しています。主な建物として:

• - 本堂
• - 薬師堂
• - 開山堂
• - 総門
• - 山王権現堂
• - 教信上人廟
• - 阿弥陀石仏
• - 鐘楼
• - タウト（塔頭）
• - 法泉院
• - 常住院
• - 遍照院
• - 不動院

教信寺には貴重な寺宝も数多く存在します。兵庫県指定文化財に指定されている沙弥教信頭像や、教信上人の絵解き軸、さまざまな仏像、五輪石塔などが含まれています。これらの文化財は、教信寺の歴史と信仰の深さを物語っています。

行事

教信寺では一年を通じて多くの行事が行われています。主なものには、修正会や涅槃会、潅仏会、春季念仏会、施餓鬼会などがあります。また、毎月の本尊縁日や観音縁日も盛況で、多くの参拝者が訪れます。特に、8月の施餓鬼会や9月の野口大念仏会には多くの人々が集います。

アクセス

教信寺の所在地は、兵庫県加古川市野口町野口465番地です。アクセスは、神姫バスの「野口」バス停から徒歩で簡単に訪れることができます。教信寺は地域の歴史と文化を感じる重要なスポットであり、訪問者に深い感動をもたらしてくれることでしょう。

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