数学教育協議会

数学教育協議会（数教協）について

数学教育協議会（すうがくきょういくきょうぎかい、英：The Association of Mathematical Instruction）は、1951年4月に設立された民間の教育研究団体です。略称は「数教協（AMI）」であり、主に数学教育に関する理論と実践を研究しています。

設立の背景

数教協の設立は、当時の日本における数学教育の問題意識から生まれました。特に「生活単元学習」によって生じた児童の計算力や論理的思考力の低下に危機感を抱いた数名の数学者たちが、新たな教育方法を模索することになりました。1958年には、水道方式と名付けられた新たな計算指導の理論が提唱され、現在に続く実践的な研究活動へとつながっていきます。

沿革

初期の活動（1951年-1957年）

設立当初の数教協は、生活単元学習に対する反対運動を展開していました。数学者の遠山啓は、自身の子供の算数テストの結果から教育方針に疑問を持ち、仲間たちと共に新しい研究会を立ち上げました。初の全国大会は1953年に法政大学で開催され、徐々に全国組織へと成長を遂げていきます。

近代化運動と脱退騒動（1957年-1962年）

1957年には「数学教育の近代化」をテーマにした大会が開かれ、小学校から高校までの各段階で新たな教育内容が議論されました。しかし、1962年には内部対立が生じ、数名の会員が脱退して独自の数学教育実践研究会を設立しました。

新しい指標と楽しい数学の提唱（1963年-1970年代）

脱退事件後、数教協は新たな「数学教育協議会指標」を設定し、民主的かつ創造的なグループ活動を重視する姿勢を確立しました。1970年代には「楽しい数学」をテーマにした授業が提唱され、授業の内容が大きく変化していきます。

国際化と実践研究の充実（1980年代以降）

数教協は数学教育国際会議（ICME）にも参加し、国際的な情報交換を行っています。また、創立40周年や50周年を契機に、数学教育に関する各種書籍も出版し、理論と実践の深化に貢献してきました。

主な研究活動

数教協では様々な研究が行われ、特に「量の体系」や「水道方式」の導入は重要な成果とされています。量の体系は、教育の中で経験と形式主義の調和を図るための基礎を提供しました。また、水道方式は、計算教育の新たなスタイルを明確に示し、多くの教育者によって実践されています。

出版物と教育資源

数教協は機関誌『数学教室』を発行し、研究成果や教育理論を広める役割を担っています。さらには、算数や数学に関するテキストや参考書も多数出版され、教育現場で活用されています。

結論

数学教育協議会は、日本の数学教育の発展に大きく貢献してきた団体であり、教育の現代化を目指す取り組みは続けられています。今後も新たな理論と実践を通じて、次世代の学びをサポートし続けることでしょう。

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