新井駅 (兵庫県)

新井駅：歴史と自然に抱かれた播但線の駅

兵庫県朝来市に位置するJR西日本播但線の新井駅は、明治34年(1901年)8月29日、播但鉄道の駅として開業しました。当初は生野駅との間を結ぶ終着駅として、旅客と貨物の取り扱いを行い、その後、和田山駅まで延伸され、ますます重要な役割を担うようになりました。

開業からしばらくの間は、急行「但馬」も停車するなど、重要な駅として地域を支えていましたが、時代の変化とともに優等列車の停車は廃止され、現在は各駅停車のみが停車する駅となっています。かつては隣接する生野駅と共に急行の停車駅として賑わいをみせていましたが、現在はのどかな地方の駅として静かに時を刻んでいます。

駅舎は木造建築で、明治時代の面影を色濃く残しています。駅舎と1番のりばの上屋には「明治34年8月」の建物財産標が取り付けられており、歴史の重みを感じさせます。かつては山陽鉄道の社紋入りの瓦が使われていたという逸話も残されています。昭和12年(1937年)の改修を経て、現在の落ち着いた佇まいとなりました。

駅構造は相対式ホーム2面2線で、列車交換が可能です。かつては3線がありましたが、現在は1線が撤去されています。駅舎は和田山方面のホーム側にあり、反対側の寺前方面ホームへは跨線橋で連絡しています。豊岡駅管理の簡易委託駅となっており、窓口も設置されていますが、早朝と夕方以降は無人となります。ICOCAなどのICカード乗車券は利用できません。

かつては有人駅として、ワンマン列車の乗降においても改札口での乗車券・運賃のやり取りが行われていましたが、現在は車内の料金箱に投入する方式に変わっています。そのため、必ず前ドアから降車する必要があります。

1番線と2番線からは、普通列車が1～2時間に1本の頻度で発車しています。駅周辺には、昭和32年(1957年)まで神子畑選鉱所とを結ぶ鉱山鉄道が運行していました。現在、選鉱所の跡地は史跡公園として整備され、歴史を偲ぶことができます。

新井駅の周辺には、朝来市役所朝来支所、国道312号、国道429号、道の駅フレッシュあさごなどがあり、公共施設や観光施設が充実しています。また、バス路線も整備されており、あさご芸術の森やアルバ・和田山病院へのアクセスも容易です。全但バスの特急バスも停車し、大阪や城崎温泉方面へのアクセスにも便利です。

新井駅は、歴史と自然が調和した静かな地方の駅です。訪れる人々に、時の流れと地域の温かさを感じさせてくれるでしょう。 その歴史と周辺環境、そして静かな佇まいは、旅情を誘う魅力にあふれています。 かつての賑わいを感じさせる遺構と、現代の利便性を兼ね備えた新井駅は、播但線沿線の魅力を象徴する存在と言えるでしょう。

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