新城俊昭

新城俊昭（あらしろ としあき）

新城俊昭氏は、1950年生まれの日本の教育者であり、沖縄大学の客員教授です。長年にわたり沖縄県の県立高等学校で歴史教師として勤務し、沖縄の歴史教育の普及と平和教育の推進に尽力しました。沖縄歴史教育研究会の代表や顧問、沖縄県平和祈念資料館の監修委員、運営委員、さらには米軍人・軍属による事件被害者の会の代表世話人など、多岐にわたる社会活動にも積極的に関わってきました。

生い立ちと教育への目覚め

沖縄県本部町で生まれた新城氏は、幼少期に父親が米兵の運転する自動車事故で亡くなるという悲劇に見舞われました。その後、家庭環境が変化し、祖母や親族のもとで育ちました。高校時代には陸上競技の選手として活躍する一方で、他県の選手からの沖縄に関する質問に答えられなかった経験から、沖縄の歴史を深く学ぶことを決意します。また、復帰運動に尽力する教師たちの姿に感銘を受け、教職を目指すようになります。立正大学文学部史学科を卒業後、1974年に歴史教師としてのキャリアをスタートさせました。

教育活動と社会貢献

新城氏は、教職に就いてから沖縄の歴史教育の普及に力を注ぎました。1980年代半ばには、教え子の中に後の音楽グループBEGINのメンバーがいたことも知られています。那覇高等学校、大平高等学校（後の陽明高等学校）、嘉手納高等学校、宜野湾高等学校など、多くの学校で教鞭を執りました。1996年には、その教育活動が評価され、沖縄タイムス教育賞を受賞しています。2011年に高校教師を定年退職した後は、沖縄大学の客員教授として後進の指導に当たっています。

また、新城氏は沖縄歴史教育研究会を主宰し、沖縄史教育のための教材開発にも積極的に関わりました。特に、1994年に自費出版した「琉球・沖縄史」の通史副読本は、県内の多くの学校で採用され、大きな反響を呼びました。この副読本は、沖縄の歴史を分かりやすく解説した内容が評価され、短期間で5,000部を完売するほどの人気を博しました。

さらに、新城氏はBEGINの楽曲「涙そうそう ウチナーグチバージョン」の作詞を担当するなど、沖縄方言を駆使した創作活動も行っています。

主な業績

新城氏は、数多くの著書を執筆しています。主な著書は以下の通りです。

『南ぬ島旅情』（1984年、那覇出版社）
『南の島のはなし』（1996年、むぎ社）
『夕陽の証言 : 少年の見た米軍統治下の沖縄重い扉をひらくためのたたかい』（1996年、むぎ社）
『クイズで学ぼう琉球・沖縄の歴史 : Q&A』（1997年、むぎ社）
『高等学校琉球・沖縄史』（1997年、編集工房東洋企画）
『見て観て考える図説琉球・沖縄』（1999年、むぎ社）
『若太陽賛歌 : 青春詩集』（2000年、むぎ社）
『教師になるあなたへ : ティー茶ーホッとタイム』（2001年、むぎ社）
『高等学校琉球・沖縄の歴史と文化 : 書き込み教科書』（2003年、編集工房東洋企画）
『沖縄戦から何を学ぶか : 戦後60年戦争を知らない世代のための平和学習書』（2005年、沖縄時事出版）
『琉球・沖縄歴史人物伝 : 親子で学ぶ沖縄人の生き方』（2007年、沖縄時事出版）
『これだけは知っておきたい琉球・沖縄のこと : 琉球・沖縄のことをもっとよく知るための問題集』（2007年、沖縄時事出版）
『琉球・沖縄史 : 沖縄をよく知るための歴史教科書 : ジュニア版』（2008年、編集工房東洋企画）
『沖縄から見える歴史風景 : 探究心を育てるためのもう一つのまなざし : 高校日本史教科書Bに記述されている琉球・沖縄』（2010年、編集工房東洋企画）
『沖縄のはなし : 読み語り読本』（2011年、編集工房東洋企画）

また、共編著として、

『教育のなかのマイノリティを語る―高校中退・夜間中学・外国につながる子ども・ＬＧＢＴ・沖縄の歴史教育』（2018年、明石書店）があります。

新城俊昭氏は、沖縄の歴史と文化を次世代に伝えるために、教育者として、また社会活動家として、多大な貢献を果たした人物であると言えるでしょう。

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