新大分発電所

新大分発電所：九州電力の天然ガス火力発電の心臓部

大分県大分市に位置する新大分発電所は、九州電力株式会社が運営する天然ガス火力発電所です。同社最大の規模を誇り、その発電能力は282.5万kW（2018年7月9日現在）に達します。これは大分県全体の電力消費量の約2倍に相当する規模であり、地域経済の基盤を支える重要な役割を担っています。

立地と名称の由来

新大分発電所は、大野川河口の埋立地（6号地）に建設されました。対岸の1号地には既に大分発電所が存在していたことから、「新」大分発電所と名付けられました。

高効率発電と柔軟な運用

新大分発電所は、九州電力において初めて天然ガスコンバインドサイクル発電方式を採用した発電所です。この方式は、ガスタービン、排熱回収ボイラー、蒸気タービン、発電機を組み合わせることで、高い熱効率を実現しています。さらに、小容量のユニットを複数グループとして運用することで、起動・停止や出力調整を迅速に行うことができます。大容量発電所でありながら、出力の絞り込みによる効率低下も少ないため、電力需要の変動に柔軟に対応できます。

設備の更新と増強

1号系列では、熱効率向上のため2009年7月からガスタービンの更新工事を開始しました。1,100℃級から1,200℃級への変更により、熱効率は46.3％に向上しました。当初は2012年10月の完了予定でしたが、福島第一原子力発電所事故の影響により、火力発電所の稼働率上昇を受け、2018年1月24日にようやく全軸のリプレースが完了しました。

2号系列では、利用効率向上のため増出力試験を実施し、定格出力を5万kW増加できることを確認、2016年10月3日に定格出力の変更を行いました。これは設備改造を伴うことなく実現されました。

3号系列は、1,300℃級改良型コンバインドサイクル発電方式(ACC)と、1,600℃級コンバインドサイクル発電方式(More Advanced Combined Cycle II)を採用したユニットで構成され、非常に高い熱効率を実現しています。特に3号系列第4軸は、52％（高位発熱量基準）という驚異的な熱効率を誇ります。

各系列の仕様

蒸気タービン対策

他社で発生した蒸気タービンの振動による自動停止事例を踏まえ、同型設計の蒸気タービンを使用する3号系列第4軸では、暫定対策工事が実施されました。これにより、定格出力は一時的に低下しましたが、2018年7月9日に恒久対策が完了し、定格出力は48万kWに回復しました。

新大分発電所の役割

新大分発電所は、高い発電効率と柔軟な運用性によって、安定した電力供給に大きく貢献しています。今後とも、地域社会の電力需要に応える重要な役割を担うことが期待されます。

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